particle accelerator

α線の散乱実験などで業績のあったアーネスト・ラザフォードは、天然放射性物質から出る α 線(エネルギー値 7.7MeV)を窒素原子核に当てることで窒素原子核が破壊されることを発見した(1919年)。これが最初の原子核の破壊実験であった。この発見から、荷電粒子(イオン、電子)に 7.7MeV 程度のエネルギーを持たせる電位をかけて加速し、対象となる原子核に当てる(原子核にエネルギーを与える)ことで人工的に原子核が破壊できるのではないかと考えられた。

1932年にコッククロフト(Cockcroft)とウォルトンWalton)は、当時から良く知られていた倍電圧整流回路を改良拡張することで 800kV の高電圧と、それに耐えるイオン加速管を開発し、加速した陽子を当てることでリチウム原子核を人工的に他の原子核に変換させることに成功した[2]。またこの実験により、特殊相対性理論からの帰結である E = mc2 が定量的に検証されるなど、加速器による原子核研究の端緒を開いた[3]。

この実験の成功を契機に既に盛り上がっていた加速器開発及び原子核研究はさらに勢いを増し、原子核を構成する陽子や中性子も破壊するための巨大加速器の建設が進んで行った。

 

Dyフリー

 TDKは希土類であるネオジム(Nd)の含有量を半減させた高性能磁石を開発し、「CEATEC JAPAN 2014」(幕張メッセ、2014年10月7日~11日)で展示する。
 開発した磁石の最大エネルギー積は40MGOe、キューリー点(磁力を失う温度)は300℃。ネオジム焼結磁石ではそれぞれ35~55MGOe、300℃であるため、ほぼ同等の性能を持つ。しかも、同じ希土類のジスプロシウム(Dy)を含有しない「Dyフリー」である。

 組成は非公表。ただし、「ネオジム焼結磁石の延長線上にある磁石」(TDK)という。ネオジム焼結磁石は「Nd2Fe14B」という組成を持つ。このNdを別の金属で代替し、粒界構造などを工夫することでNdを半減させたとする。

 代替したのは「テルビウム(Tb)やDyではなく、資源枯渇や入手が困難になるリスクが少ない元素」(TDK)とした。製造については既存のネオジム焼結磁石とほぼ同じ工程で作れるという。

 現時点では量産の計画はない。Ndの価格が落ち着いており、Ndを半減させても価格を大きく下げることが難しいためとみられる。「資源調達リスクを減らすため、現在幾つかのアプローチで希土類を含まない磁石を研究している。今回、DyフリーでNdを半減できるという一定の成果が出たため、展示することにした」(TDK)という。

結晶粒界(けっしょうりゅうかい、Grain boundary)は、多結晶体において二つ以上の小さな結晶の間に存在する界面。

液体が冷却されるなどして固体になるとき、始めに多数の微小な結晶(結晶粒)が形成され、それぞれが別々に成長して多結晶体になる。このとき個々の結晶の方向を揃えておくことは困難である。一方、個々の粒子が単結晶からなる粉末を焼結させる過程においても、あらかじめ結晶の方向を揃えたり途中で結晶の方向を変えたりすることは困難である。いずれの場合も形成された多結晶体を構成する結晶は隣接する結晶と方向が異なっている。すなわち結晶と別の結晶との間に残された不連続な境界面が結晶粒界となる。

高温において結晶に応力が加わると、結晶に含まれる転位が二次元的に配列して一つの面を構成するようになる。この面を境にして結晶の方向が変化することから、この結晶はすでに二つの結晶に分かれていると見なすことができる。すなわちこの境界面が結晶粒界となる。

結晶粒界は転位の集合体とみなすことができるため、その性質を転位の性質から予測することができる。刃状転位が集合すると傾斜型の結晶粒界となり、らせん転位が集合するとねじれ型の結晶粒界となる。このとき転位の集合密度が大きいほど結晶方向の違いが大きくなる。結晶方向の違いが小さい結晶粒界は特に小傾角粒界または小ねじれ角粒界と呼ばれ、転位の集合体としての性質を示すが、結晶方向の違いが大きくなると単純に転位の集合体として性質を説明することはできなくなる。

結晶粒界が存在しない物体より結晶粒界が存在する物体の方がエネルギーが高い状態にあり、その差を結晶粒界の面積あたりに換算したものは粒界エネルギーと呼ばれる。小傾角粒界または小ねじれ角粒界において粒界エネルギーは両側の結晶の方向に差があるほど大きくなる。これは粒界エネルギーを転位の持つエネルギーの合計として記述できるためである。

結晶粒界は広い意味で格子欠陥の一種であり、点欠陥の集合体としての性質を示す。例えば拡散速度を大きくしたり電荷を帯びたりする。結晶粒界の影響によって結晶内部に新たな格子欠陥が形成されることもある。このため一般に、結晶内部より結晶粒界付近の方が格子欠陥濃度が大きく、従って拡散速度も大きい。結晶粒界における拡散現象は特に粒界拡散と呼ばれる。

液体から結晶成長する過程において不純物は結晶内部に取り込まれにくいため、結晶粒界には不純物が残留しやすい。また、液相焼結を行った場合には、しばしば結晶粒界にアモルファスなどの異物が残留する。

結晶粒界は結晶内部と比較して強度が小さいため、しばしば物体が破壊する起点となる。特に強度差が大きい場合、粒界に沿って破壊が進行することもある。また結晶粒界においてエッチングや腐食は加速される。この性質を利用して粒界を選択的にエッチングする方法によりその構造を観察することができる。

点欠陥は格子欠陥の一種である。結晶物質を構成する原子は規則的な配列(結晶格子)を持つが、完全に規則正しくならんでいるということはなく様々な欠陥が含まれている。そのうち、広がりを持たない点状の欠陥については点欠陥という。代表的な点欠陥には、不純物原子による置換(異種原子)、不純物が格子間に紛れ込んだもの(格子間原子)、原子空孔、フレンケル欠陥、アンチサイト欠陥がある。

アモルファス (amorphous)、あるいは 非晶質(ひしょうしつ)とは、結晶のような長距離秩序はないが、短距離秩序はある物質の状態。これは熱力学的には、非平衡な準安定状態である。

amorphous は、morphous(形を持つ)に「非」の意味の接頭辞 a‐ が付いた語(19世紀にスウェーデンのイェンス・ベルセリウスが非結晶の固体に対して命名した[1])。結晶は、明礬や水晶のようにそれぞれ固有の結晶形態を持っており、morphous である。しかし、急冷や不純物が混じった状態で出来た固体は、時間的空間的に規則的な原子配列が取れず非晶質となり、不定形である。

アモルファス状態は、非金属ではしばしば見られる状態である。しかし、金属にもアモルファス状態が存在することは、アメリカのポール・デュエイ (Pol Duwez) カリフォルニア工科大学教授らが1960年に発見した。

 

conditionally complete lattice〜完備束か、完備束から最大元 1 を除いたものか、完備束から最小元 0 を除いたものか、あるいは完備束から最大元と最小元の両方を取り除いたもの

数学における束(そく、英語: lattice)は、任意の二元集合が一意的な上限(最小上界、二元の結びとも呼ばれる)および下限(最大下界、二元の交わりとも呼ばれる)を持つ半順序集合である。それと同時に、ある種の公理的恒等式を満足する代数的構造としても定義できる。二つの定義が同値であることにより、束論は順序集合論と普遍代数学の双方の領域に属することとなる。さらに、半束 (semilattice) の概念は束の概念を含み、さらにハイティング代数ブール代数の概念も含む。これら束に関連する構造は全て順序集合としても代数系としても記述することができるという特徴を持つ。

半順序集合 (L, ≤) が束であるとは、以下の二条件が満足されるときに言う。

二元の結びの存在
L の任意の二元 a, b に対して、二元集合 {a, b} が結び(上限、最小上界、和) a ∨ b を持つ。
二元の交わりの存在
L の任意の二元 a, b に対して、二元集合 {a, b} が交わり(下限、最大下界、積) a ∧ b を持つ。
これにより、∨ および ∧ は L 上の二項演算となる。最初の条件は L が結び半束 (join-semilattice) となることを主張するものであり、後の条件は L が交わり半束 (meet-semilattice) となることをいうものである。二つの演算はその順序に関して単調である。すなわち、a1 ≤ a2 かつ b1 ≤ b2 ならば

a
1

b
1

a
2

b
2
,
a
1

b
1

a
2

b
2
a_{1}\lor b_{1}\leq a_{2}\lor b_{2},\quad a_{1}\land b_{1}\leq a_{2}\land b_{2}
がともに成り立つ。

このとき、帰納的に、束の任意の空でない有限集合に対して、その結び(上限)および交わり(下限)の存在が示せる。さらに仮定を増やせば、もっといろいろなことが言える場合もある。完備性等を参照。そういった文脈では、上記の定義をもっと別の方法、例えば適当なガロワ接続の存在によって定義することもできる(これは束に対するある種のガロワ理論的な手法である)[要出典]。

有界束 (bounded lattice) は 1 で表される最大元 (greatest element, maximum, top (⊤)) および 0 で表される最小元 (least element, minimum, bottom (⊥)) を持つ束である。任意の束は最大元と最小元を付加することにより有界束とすることができる。また、空でない任意の有限束は有界である(全ての元の結びおよび交わりが最大元及び最小元を与える)。すなわち、A = {a1, …, an} ならば

1=⊤ :=⋁A (=
a
1
∨⋯∨
a
n
), 0=⊥ :=⋀A (=
a
1
∧⋯∧
a
n
){\begin{aligned}1=\top &:=\bigvee A&&(=a_{1}\lor \cdots \lor a_{n}),\\0=\bot &:=\bigwedge A&&(=a_{1}\land \cdots \land a_{n})\end{aligned}}
が成り立つ。

半順序集合が束となる必要十分条件は、任意の有限部分集合(零元集合としての空集合を含む意味で言う)が結びおよび交わりを持つことである。ここで、空集合に関する結びは最小元、空集合に関する交わりは最大元となるものと約束する。



=
0
,


=
1.
\bigvee \varnothing =0,\quad \bigwedge \varnothing =1.
この規約は、結びおよび交わりの結合性および可換性に整合性を持たせるためのものである。すなわち、有限集合の族の和集合の結びはそれらの集合の結びの結びに一致し、双対的に、有限集合の族の和集合の交わりがそれらの集合の交わりの交わりとなる。これは、具体的に束 L の有限部分集合を A, B とすると、


(
A

B
)
=
(

A
)

(

B
)
, ⋀
(
A

B
)
=
(

A
)

(

B
)
{\begin{aligned}\bigvee \left(A\cup B\right)&=\left(\bigvee A\right)\vee \left(\bigvee B\right),\\\bigwedge \left(A\cup B\right)&=\left(\bigwedge A\right)\wedge \left(\bigwedge B\right)\end{aligned}}
がともに成り立つという意味である。ここで B として空集合を取ると


(
A


)
=
(

A
)

(


)
=
(

A
)
∨0=⋁A, ⋀
(
A


)
=
(

A
)

(


)
=
(

A
)
∧1=⋀A{\begin{aligned}\bigvee \left(A\cup \emptyset \right)&=\left(\bigvee A\right)\vee \left(\bigvee \emptyset \right)=\left(\bigvee A\right)\vee 0=\bigvee A,\\\bigwedge \left(A\cup \emptyset \right)&=\left(\bigwedge A\right)\wedge \left(\bigwedge \emptyset \right)=\left(\bigwedge A\right)\wedge 1=\bigwedge A\end{aligned}}
となり、これは A ∪ ∅ = A であるという事実と整合する。

集合 L および L 上の二項演算 ∨, ∧ からなる代数的構造 (L, ∨, ∧) が束であるとは、L の任意の元 a, b, c に対して以下の公理的な恒等式を満足するときに言う。

可換律 結合律 吸収律
a

b
=
b

a
a\lor b=b\lor a
a

(
b

c
)
=
(
a

b
)

c
a\lor (b\lor c)=(a\lor b)\lor c
a

(
a

b
)
=
a
a\lor (a\land b)=a
a

b
=
b

a
a\land b=b\land a
a

(
b

c
)
=
(
a

b
)

c
a\land (b\land c)=(a\land b)\land c
a

(
a

b
)
=
a
a\land (a\lor b)=a
さらに以下の二つの恒等式を公理として仮定することも多いが、実際には吸収律を二度使うことで導くことが可能である[* 1]

冪等律
a

a
=
a
,
a

a
=
a
.
a\lor a=a,\quad a\land a=a.
これらの公理は (L, ∨) および (L, ∧) がともに半束となることを要請するものである。また吸収律は(公理のうちこれだけが条件式に結びと交わりの両方が現れているので)、これによって束が、単にかってな半束の対ということではなく、対となる二つの半束のあいだに適切な相互関係があることを仮定するものとなっている。特に、互いの半束の間に双対性が見て取れる。

代数的な意味での有界束とは代数的構造 (L, ∨, ∧, 1, 0) であって、(L, ∨, ∧) は束であり、(束の最小元となるべき)0 が結び ∨ に関する単位元で、(束の最大元となるべき)1 が交わり ∧ に関する単位元となるものをいう。さらなる詳細は半束の項に譲る。

束はある種の群に似た代数的構造と関連がある。実際、交わりも結びも結合的かつ可換なので、束を台を共有するふたつの可換半群の対と看做すことができる。有界束ならば、この二つの半群は実際には可換モノイドになる。吸収律だけが、束論に特有の定義式である。

可換性と結合性により、結びや交わりを二項ではなく空でない任意の有限集合上の演算として考えることもできる。有界束の場合には、空集合に関する結び(空和)と空集合に関する交わり(空積)をそれぞれ 0 と 1 として定義することができる。このことは、有界束がある意味で一般の束よりも自然であるという見方を与えるものであって、しばしば、単に束といえば有界束のことを意味するという文献があるので注意が必要である。

このような束の代数的な解釈は普遍代数学において本質的な役割を果たす。

以下、いくつか意味のある束のクラスを定めるさまざまに重要な束の性質について述べる。なお、そのうちの一つ、有界性についてはすでに述べてあることを注記する。

半順序集合が完備束 (complete lattice) であるとは、その任意の部分集合が交わりと結びを持つときに言う。特に任意の完備束は有界束である。有限束の準同型は有限な交わりおよび結びしか保存しないが、完備束の準同型では任意濃度の交わりと結びを保つことを要請する。

任意の半順序集合はそれが完備半束であるならば完備束となる。この事実に関する面白い現象として、このクラスの半順序集合に対しては、いくつもの準同型を同時並行的に考えることができるということが挙げられる(つまり、それを完備束とみるか、完備結び半束とみるか、完備交わり半束とみるか、結び完備束とみるか交わり完備束とみるか、それぞれの意味での準同型を考えうる)。

条件付き完備束 (conditionally complete lattice) とは任意の空でない上に有界な部分集合が結び(最小上界)を持つことをいう。このような束は実数全体の集合に対する完備性公理を最も直接に一般化するものである。条件付き完備束は、完備束か、完備束から最大元 1 を除いたものか、完備束から最小元 0 を除いたものか、あるいは完備束から最大元と最小元の両方を取り除いたものかのいずれかである。

応用に際して、分配性条件は強すぎる制約となることがあり、次のようなより弱い性質を考えると便利なことがよくある。束 (L, ∨, ∧) がモジュラー (modular) であるとは L の各元 a, b, c に対して

モジュラー恒等式
(a ∧ c) ∨ (b ∧ c) = [(a ∧ c) ∨ b] ∧ c
が成立するときにいう。この条件は次の条件と同値である。

モジュラー律
a ≤ c ならば a ∨ (b ∧ c) = (a ∨ b) ∧ c.
束がモジュラーである必要十分条件は N5 (右図)と同型な部分束を含まないことである[7][8]。 分配束はモジュラーだが、分配束とは限らないモジュラー束の例として、加群の部分加群全体の成す束や、群の正規部分群全体の成す束が挙げられる。

モジュラー性でも強すぎるときに(上)半モジュラーと呼ばれる次のような性質を課すことがある。 束 L が (上)半モジュラー ((upper)semimodular) であるとは

半モジュラー律
a ∧ b <: a ならば b <: a ∨ b。
が成立するときにいう。ただしここで a <: b とは b が a を被覆する、すなわち a < b であり a < c < b となるような c が存在しないこと。

上半モジュラーの双対概念を下半モジュラーという。 モジュラー束は上及び下半モジュラーだが逆は一般には成立しない。しかし有限束などでは両者は一致する。

半モジュラーの更なる一般化として 弱半モジュラー (weakly semimodular) 又はバーコフ条件と言われる以下の条件がある

バーコフ条件
a ∧ b <: a かつ a ∧ b <: b ならば a <: a ∨ b かつ b <: a ∨ b。
任意の半モジュラー束は弱半モジュラー束である。

 

 

 

定理から公理を証明する

逆数学とは、数学の定理の証明に必要な公理を決定しようとする数理論理学のプログラムである。簡単に言えば、通常の数学が公理から定理を導くのとは逆に、「定理から公理を証明する」手法を用いることが特徴である。「選択公理とツォルンの補題はZF上で同値である」、というような集合論の古典的定理は、逆数学プログラムの予兆となるものだった。しかし、実際の逆数学では主に、集合論の公理ではなく、通常の数学の定理を研究するのを目的とする。

逆数学は大抵の場合、2階算術について実行され、定理が構成的解析と証明論に動機付けられた2階算術の部分体系のうち、どれに対応するのかを研究する。 2階算術を使うことで、再帰理論からの多くの技術も利用できる。実際、逆数学の結果の多くは、計算可能性解析の結果を反映している。

逆数学は、Harvey Friedman (1975, 1976)によってはじめて言及された。基本文献は(Simpson 2009)を参照。

逆数学は、フレームとなる言語と基本的な公理からはじめる。例えば、“すべての実数の有界な列は上限をもつ”という定理の研究には、実数と実数の列を定義する公理が必要となる。

基本体系において証明できない定理からはじめて、定理を証明するのに必要な(基本体系よりも強い)公理を決定することを目標とする。定理
T
T\,とそれを証明可能な場合の体系
S
S\,との関係を示す2つの証明がある。1つ目は、
S
S\,から
T
T\,が証明可能であることの証明である。このとき普通の数学の定理は体系
S
S\,で成り立つ。2つ目は*逆方向*、 すなわち
T
T\,が
S
S\,と同値であることであることの基本体系における証明である。 逆方向の証明ができれば、
S
S\,より弱い体系
S

S^{\prime }\,であって
T
T\,を証明できるようなものは存在しないことが分かる。

逆数学は2階算術の部分体系において研究されることが多い。その場合、数学的対象を自然数自然数の集合によって形式化しなければならない。例えば、自然数のペアを1つの自然数として表現することができ、自然数のペアによって有理数を表現する。有理数の集合(これは結局、自然数の集合として表現される)によって有理数の列を表現し、有理数の列のうちコーシー列であるようなものによって実数を表現することができる。逆数学の研究においては、弱い部分体系であって数学的対象を形式化できる程度には強い体系を基本体系として用いる。

逆数学が集合論ではなく2階算術を用いるのは、弱い部分体系であって数学的対象を形式化できる程度には強い体系を2階算術では自然に定義することができるからである。

2階算術を使う場合、数学の定理を制限しなければならない。例えば、2階算術では一般のベクトル空間は表現できない。そのため"すべてのベクトル空間は基底をもつ"という一般的な原理は表現できないが、"すべての可算なベクトル空間は基底をもつ"という原理は表現することができる。同様に、代数の定理の対象は可算な群や環や体についてのものになる。また、距離空間を対象とする解析や位相の定理は、実数を有理数のコーシー列によって表現したのと同様の手法により、可分な距離空間について考察することができる。 なお、定理を可算なものに制限した場合、本来の定理とその強さが全く異なる場合がある。例えば、"すべての体は代数的閉体をもつ"はZF集合論では証明できないが、"すべての可算な体は代数的閉体をもつ"と制限すれば、非常に弱い弱い形式体系である
RCA
0
{\mbox{RCA}}_{0}\,でも証明することができる。

RCA
0
{\mbox{RCA}}_{0}\,は、「ロビンソン算術の公理」+「
Σ
1
0
\Sigma _{1}^{0}\,論理式に対する帰納法の公理」+「
Δ
1
0
\Delta _{1}^{0}\,論理式に対する内包公理」からなる部分体系である。

RCA
0
{\mbox{RCA}}_{0}\,は逆数学で最も多用される体系である。
RCA
0
{\mbox{RCA}}_{0}\,は"再帰的内包公理"と呼ばれ、"再帰的"とは"計算可能"を意味している。この名称は
RCA
0
{\mbox{RCA}}_{0}\,が"計算可能性数学"に類似しているからである。
RCA
0
{\mbox{RCA}}_{0}\,で存在が証明可能な自然数の集合は計算可能である、よって計算不可能な集合の存在は
RCA
0
{\mbox{RCA}}_{0}\,で証明できない。

RCA
0
{\mbox{RCA}}_{0}\,はBig Fiveで最弱だが、古典的数学の対象を形式化できる。また、以下の定理が証明可能である。

自然数全体、整数全体、有理数全体の成す集合の基本性質(例えば、有理数全体が順序体を成すこと)。
実数全体の成す集合の基本性質(実数全体がアルキメデス順序体であること、長さが0に近付く任意の包含閉区間列の交叉が1点のみからなること、実数は非可算であること)。
完備可分距離空間におけるベールの範疇定理。
実連続関数における中間値の定理。
可分バナッハ空間における連続線形演算子の列に関するバナッハ–シュタインハウスの定理。
弱いゲーデルの完全性定理。
可算な体での代数的閉体の存在(一意性は除く)。
可算な順序体の実閉体の存在と一意性。
RCA
0
{\mbox{RCA}}_{0}\,の1階部分は、
I
Σ
1
{\mbox{I}}\Sigma _{1}\,(ペアノ算術の帰納法

Σ
1
\Sigma _{1}\,論理式に制限した体系)と一致する。

位相幾何学において、ジョルダン曲線定理(ジョルダンきょくせん-ていり、Jordan curve theorem)あるいはジョルダンの閉曲線定理(へいきょくせんていり)とは、平面に置かれた自己交差を持たないどんな閉曲線(輪っか)も平面を「内側」と「外側」に分けるということを述べた定理。

 

Validation

バリデーションは、製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理および品質管理の方法(以下「製造手順等」という。) が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることによって、目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造できるようにすることを目的とする。

 

論理ゲート

論理演算を行う回路のこと。基本論理演算素子または単にゲートとも呼ぶ。基本的な論理機能であるAND(論理積)、OR(論理和)、NOT(否定)に対応した論理ゲートを、それぞれANDゲート、ORゲート、NOTゲート(またはインバータ)と呼ぶ。その他、NAND(否定積)ゲートやNOR(否定和)ゲートなどがある。

第8周期

摂氏数億度の高温を用いる核融合は特に熱核反応(thermonuclear reaction)と呼ばれるが、熱核反応の燃料としては、原子核の荷電が小さく原子核同士が接近しやすい軽い核種で反応自体も速いといった理由から三重水素や二重水素といった水素の重い同位体が理想的と言われる[1]。

融合のタイプによっては融合の結果放出されるエネルギー量が多いことから水素爆弾などの大量破壊兵器に用いられる。また核融合炉によるエネルギー利用も研究されている。

核分裂反応に比べて、反応を起こすために必要な温度・圧力が高いため技術的ハードルが高く、現在のところ、水素爆弾核分裂反応を利用して起爆する必要があり、核融合炉は高温高圧の反応プラズマを封じ込める技術開発が困難を極めている。

核融合 - 超高温により起こる核融合。本項で詳説する。
衝突核融合 - 原子核を直接に衝突させて起こす核融合原子核の研究において使用される。
スピン偏極核融合 - 陽子と中性子の自転の角運動量のパラメータ(スピン)を制御する事により核融合反応を制御する。
ピクノ核融合 - 非常に高密度の星(白色矮星)の内部で起こっていると考えられている核融合反応。電子が原子核クーロン力を強く遮断して、低温の状態でも零点振動による量子トンネル効果により核融合が起こる。
ミューオン触媒核融合 - 負ミューオンは電子と電荷は同じだが約200倍の質量を持つので束縛軌道半径が約200分の1である。そのため、電子を負ミューオンに置き換えると原子核同士が接近しやすくなり核融合が起こりやすくなる。負ミューオンは消滅までに何度もこの反応に関与できるので触媒のように作用する。
常温核融合 - 室温で核融合が起こるとされた実験報告がなされた。

中心温度が15億 Kを超えると、炭素も核融合を始める(炭素燃焼過程)。さらに恒星が十分な質量を持っていれば、ネオン燃焼過程、酸素燃焼過程、ケイ素燃焼過程を経て安定した鉄56(最も安定な核種はニッケル62。詳細は鉄参照)が作られ、中心での核融合反応は終了する。星は内側から、鉄の核、ケイ素の球殻、酸素の球殻、ネオンの球殻、炭素の球殻、ヘリウムの球殻、水素の最外層からなる、タマネギ状の構造になり、中心以外の各層で核融合が進行する。

中心温度が100億 Kを超えると、黒体放射の光子のエネルギーが核子の結合エネルギーと同程度になるため、鉄の光分解が起こる。

56
Fe

13
4
He
+
4
n

124
MeV
{}_{{}}^{{56}}{\hbox{Fe}}\;\to \;{13}_{{}}^{{4}}{\hbox{He}}+{4}_{{}}^{{}}{\hbox{n}}-{124}{\hbox{MeV}}
この吸熱反応により中心の温度が下がり、それにより圧力も下がる。圧力が下がると星は収縮するが、収縮により温度が上がって光分解が進む。 繰り返されるこの過程により恒星は重力崩壊する。 中心部に物質が落下し、原子核に電子が取り込まれて陽子がニュートリノを放出して中性子が出来る。 中心に中性子の塊が出来、自身の縮退圧で支えられるようになると、外層から落下してきた物体は中性子の塊の表面で跳ね返され、超新星爆発を起こす。最近の研究によると鉄より重い元素の約半数は、超新星爆発のときの核融合で作られ、残り半数はS過程で作られる。

なお、この時に残った中性子の塊は中性子星となる。もし中性子の塊が自身の縮退圧で支えられない状況になると、ブラックホールになる。超新星爆発中性子星が残らないケースも研究されている。

光崩壊 (英: Photodisintegration) は非常に高エネルギーのガンマ線原子核に作用することによって原子が崩壊する過程のこと。高エネルギーのガンマ線は光子ともよばれ、ここから光崩壊と呼ばれ、光壊変や光分解ともよばれる。原子核ガンマ線を受けることで励起状態になることが原因であり、原子核を構成する陽子や中性子を放出することで即座に崩壊する。原子核の中に侵入したガンマ線によって一粒の陽子や中性子が効果的に叩きだされる。

この過程は本質的には軽い元素が高温で融合して重い元素を生成し、エネルギーを解放する核融合とは逆の過程である。光崩壊は原子核が鉄より軽い時は吸熱性であり、原子核が鉄より重い時には放熱を行う。光崩壊は少なくとも超新星で起きるp過程を通して生成される重く陽子に富んだ元素の一部を合成する原因である。

原子核物理学における中性子捕獲(ちゅうせいしほかく、英: neutron capture)とは、核反応の一種で、中性子原子核に吸収されたのちにガンマ線を放出する現象〔(n, γ)反応〕を言う。

原子炉の内部のように中性子束の小さな環境では、1個の中性子原子核に捕獲される。例として、金の原子核(金197)に中性子が照射されると高い励起状態の金198が作られ、その後すぐにガンマ線光子を放出して基底状態の金198に崩壊する。この過程では原子核の質量数が1増える。この過程を核反応式で書くと以下のようになる。

197
A
u
(
n
,
γ
)
198
A
u
{\displaystyle {\rm {{}^{197}{\rm {Au}}(n,\gamma ){}^{198}{\rm {Au}}}}}
中性子が捕獲される反応を特に熱中性子捕獲 (thermal neutron capture) と呼ぶ。

金198はベータ崩壊を起こして水銀198に変わる。この過程では原子番号原子核内の陽子数)が1増える。

中性子束は、自然現象と化学実験による人為的な現象の両方で、中性子が安定した割合で原子核粒子に衝撃を与える場合に用いられる。この場合、不安定な放射性同位体を含む異なった同位体や、単に安定な元素を産む。中性子束は一定時間単位に一定空間を通過する中性子の数の尺度として用いることがある。よく使われる尺度は中性子/cm2秒である。

D + T

\to 4He + n (14MeV)
反応条件が緩やかで、最も早く実用化が見込まれている反応である。核融合炉として使用する場合トリチウムの入手性に課題がある。トリチウムは、自然界においては、大気の上層でわずかに生成されるのみであり、半減期の短い放射性物質であるため事実上採取は不可能である。また、高速中性子が生成するため、炉の材質も検討が必要となる。現在検討されているトリチウム入手法は、核融合炉の周囲をリチウムブランケットで囲み炉から放出される高速中性子を減速させつつ核反応を起こし、

6Li + n

\to T + 4He + 4.8MeV
7Li + n

\to T + 4He + n - 2.5MeV
トリチウムを得ることである。このときブランケットは高速中性子を減速して遮蔽し、燃料を生産し、反応熱を取り出すと言う3つの役割をすることになる。欧州トーラス共同研究施設およびTFTRにおいてはこの反応を主反応とするような実験が行われた。

ブランケット(英: blanket)とは核融合炉の内壁を構成する装置のひとつ。冷却、燃料生産、遮蔽の3つの機能を担う。高速増殖炉においても、燃料増殖と遮蔽のために置かれる、ウラン238の燃料棒の事をブランケット燃料と呼ぶ。

プラズマ内で生じたエネルギーの80%は高速中性子の形で炉壁に衝突してくる。この高エネルギー粒子である高速中性子を受け止めて背後への漏れを防ぐとともに、そのエネルギーを熱に変えて発電のエネルギーとするための、主な炉壁を構成する重要な装置である。同時にリチウム6を核変換して燃料となる三重水素トリチウム)を生産する機能を合わせ持つことも計画されている。

高速中性子原子番号の大きな、つまりは原子核が重く大きな元素の原子核には相互作用をあまりせず、高速中性子自身と同程度の規模の粒子、つまり原子番号がきわめて小さく原子核が軽くごく小さな元素の原子核に反応する傾向が強い。

このため実際に高速中性子を主に受け止めるのは、ブランケットの支持構成材の原子核ではなく、ブランケット内を流れる高圧冷却水の水素原子や酸素原子と、下記の燃料生産で説明するリチウムの原子である。

この高圧冷却水は融合炉外部より冷却水循環系の配管やブランケット接続部を経由してブランケット内に導かれ、ブランケット内の曲がりくねった配管を流れる間に周囲の高熱を冷やし、自身は熱を帯びる。高水圧に加圧されているため配管内では沸騰することなくやがて十分に周囲の熱を奪ってブランケット接続部より冷却水循環系の帰路を通じて出て行く。この高圧高温の冷却水は、炉外で直接かまたは一度熱交換器(蒸気発生器)を通じて蒸気を発生させ、発電タービンを回して発電機を回転させ発電する。タービンを回した冷却水は復水器で水に戻されるか、または設計によっては再び熱交換器(蒸気発生器)に戻って加熱され低圧タービンを回してから復水器で水に戻される。復水器で十分に冷やされた冷却水は、循環ポンプにより加圧されて、冷却水循環系を通じて再び融合炉の冷却に向かう。

このしくみは、水を高速中性子の減速材として使いながら同時に冷却材として利用する点で、現在の軽水炉型の原子炉と全く同じである。

核融合炉の燃料として有力視されているのが重水素三重水素である。重水素は自然水中に含まれる水素の内の0.015%から抽出することでも生産が可能であるが、三重水素は自然界には検出限界程度の割合でしか存在せず抽出は不可能である。これらの事情から何らかの方法で三重水素を作らなければならない。

リチウム6を中性子にさらすとヘリウム4と三重水素原子核が得られるので、ブランケット内に天然リチウム(リチウム6の天然存在比は約7.6%)を置き、ヘリウム4と三重水素のガスを発生させる。これを取り出して核融合炉の燃料として使用することが考えられている。最初の核融合ではおそらく核分裂炉で三重水素を生産しなければならないが、いちど核融合での運転が軌道に乗れば重水素とリチウムの供給だけで、三重水素の供給は必要がなくなる。また、1つの中性子をリチウムに当てて核分裂させると中性子が2つ出てくるので、中性子が倍増できるためこのことも効率をよくする。さらに中性子を発生させてエネルギー生産効率を高めるために、それに適した元素による中性子増倍材も検討されている。

三重水素原子は他の小さな原子同様に多くの物質中に浸透・透過してゆくため、この放射性物質三重水素ガス回収系の途中や冷却水循環系に浸透した後で逃げ出したりしないように、設計時に考慮する必要がある。また重水素三重水素、ヘリウムの各原子・分子は周辺部材に浸透することで水素脆化やヘリウム脆化を引き起こすのでこれらのガスに長期間曝される力学的負荷の高い部材は高分子化合物等の被覆処理などの対応が必要となる。

ブランケット・モジュールは内部に2つの空間を備えた支持構造体で、リチウムの交換や金属の劣化などに対応するために炉壁から取り外して交換が可能な形態となる。プラズマ側の空間にはベリリウムなどの中性子増倍材をペブルと呼ばれる微小球(直径1ミリメートル以下)の形で収め、プラズマから離れた側の空間には酸化リチウムなどのトリチウム増殖材を同じくペブルで収める。 いずれの空間にも、隙間にヘリウムなどの不活性ガスを流し、また多くの冷却パイプを通わせ中に減速材と冷却材を兼ねる高圧水を流す。ブランケットの構造体や冷却パイプなどの部材は中性子に対して放射化やスウェリングの影響を受けにくい材質を選ぶ必要がある。この構造体は強い磁場の中で強力な力を受けるので、力学的にも強固でなければならない。またこの構造体は高温の環境で機能しなければならないので、単に溶けないだけでなく大きな歪みや割れを生じてはならない。

ブランケット・モジュールのプラズマに直接接する面は第一壁と呼ばれ、最も激しい粒子線に曝されるため部材選択に関して重要な技術開発の対象である。

支持構造体(低誘導放射化フェライト鋼など)
中性子増倍材(ベリリウムなど)
トリチウム増殖材(酸化リチウムなど)
冷却(重水素回収)ガス(ヘリウムなど)
冷却パイプ(ステンレスなど)
減速材・冷却材(水)
配管接続部や壁面固定部
冷却材はブランケットを出た後で熱エネルギーが発電のための使われ、十分に冷めた後で再びブランケットへ送られ再び高温からブランケットを守る。冷却ガスは三重水素回収系を経て、おそらく十分に冷めた後で再びブランケットへ送られる。ただし実験炉であるITERでは発電は行なわれないため、熱エネルギーは大気中へ捨てられる。

ブランケットには上記のように複数の機能を併せ持つものもあれば、遮蔽ブランケット、増殖ブランケット、発電ブランケットと単機能のものも考えられている。上図はその開発過程のテスト用のブランケットの概念を示したものである。

核融合反応でくっついた原子核は、まず複合核(Compound Nucleus)を形成します。この原子核は非常に「熱い」原子核であり、中性子や陽子、アルファ粒子などを放出(蒸発:evaporation)し、その後ガンマ線を放出することでエネルギーの低い「冷たい」状態になります。この放出される粒子やガンマ線を測定することで、原子核がどのような状態を形成したのかを調べることができます。

熱い融合反応は、アクチノイド原子番号89から103までの元素)を標的にして比較的軽い重イオン(原子番号10~20)ビームを照射し核融合を起こすことで、冷たい融合反応より励起エネルギーの高い熱い状態の複合核(励起エネルギーが 30~50 MeV)を経由して超重元素を合成する方法。