高誘電率を持つ電解液

炭酸エチレン(たんさんエチレン、ethylene carbonate)はエチレングリコールの炭酸とのエステルである。室温 (25 °C) では透明なガラスのような固体である。液体状態(融点 34–37 °C)では無色無臭の液体である。

極性溶媒としても利用され、リチウムイオン二次電池の高誘電率を持つ電解液としても利用される。

可塑剤としても利用されている。

エチレングリコール (ethylene glycol) は、溶媒、不凍液、合成原料などとして広く用いられる 2価アルコールの一種である。分子式 C2H6O2、構造式 HO-CH2-CH2-OH、分子量 62.07。IUPAC命名法では エタン-1,2-ジオール、あるいは 1,2-エタンジオール と表される。粘稠な無色液体で、水などの極性溶媒に溶けやすい。その性質に加えて融点が −12.6 ℃ と比較的低いので水冷エンジンなどの不凍液として用いられている。引火点 111℃、発火点 398℃で、消防法上の第4類危険物(第3石油類)に指定されている。

エチレングリコールは、エチレンオキシド(エポキシエタン、オキシラン)を酸触媒下で加水分解すると得られる。無触媒条件下でも、高温、高圧下でエチレンオキシドと水を反応させてエチレングリコールを得ることができる。

C
2
H
4
O

+
H
2
O

HO

CH
2
CH
2

OH
{\displaystyle {\ce {C2H4O\ +H2O->HO-CH2CH2-OH}}}
エチレングリコールの2008年度日本国内生産量は 628,793t、消費量は 12,089t である[2]。

銅触媒のもとに空気酸化すると、グリオキサールを与える。また二クロム酸カリウムを用いて酸化すると、シュウ酸を生成する。

エチレングリコールは、ポリエチレンテレフタラート (PET) の主原料のひとつである。PEN,PTTなどのほかのポリエステルの原料としても同様に用いられる。

エチレングリコールエーテル類はセロソルブ (cellosolve) とも呼ばれ、ブチルセロソルブやフェニルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどが塗料の溶媒などとして広く用いられている。

消防法 - 第4類危険物(第3石油類)
労働安全衛生法 - 労働安全衛生法施行令第18条の2 名称等を通知すべき危険物及び有害物(安全データシート交付の義務)、労働安全衛生法第100条第1項及び厚生労働省令に基づく有害物ばく露作業報告対象物質(含有量0.1%未満の製剤を除く)[5]。
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 - 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令施行令別表第1 海洋環境の保全の見地から有害である物質(Y類物質) [2]

エチレンオキシド (ethylene oxide) は、有機化合物の一種で、三員環の構造を持つ環状エーテルである。

C2H4O、分子量 44.05 の最も単純なエポキシドである。別名として、エポキシエタン (epoxyethane)、オキシラン (oxirane)、オキサシクロプロパン (oxacyclopropane)、酸化エチレン・エチレンオキサイド (ethylene oxide) とも呼ばれ、EOと略称される。IUPAC命名法では、1,2-エポキシエタン (1,2-epoxyethane) が最も一般的。 洗剤やポリエステル繊維など身近なものに使われるエチレングリコールエタノールアミンなどの誘導品を製造する。

水、有機溶媒のいずれにもよく溶ける。立体的なひずみエネルギーにより、特に求核剤に対して反応性が高い。他の有機物質を合成するときの中間体として用いられる。また、医療機器や精密機械を滅菌するために用いられる。猛毒。常温大気圧下の空気中での爆発範囲は3.0-100%である。つまり、空気がなくとも火花や静電気などによって爆発する、分解爆発性を有する。 作業環境における管理濃度は1ppmである。2012年10月1日施行の改正女性労働基準規則[1]の対象物質となる。

工業的には、銀を担持させたアルミナ触媒のもと、1–3 MPa、200–300 °C でエチレンと酸素とを作用させて合成される。 酸化エチレンの 2008年度日本国内生産量は 865,247 t、工業消費量は 593,943 t である[2]。

エチレンオキシドを最初に合成したアドルフ・ヴュルツは、2-クロロエタノールと塩基を用いた(分子内ウィリアムソン合成)。 エチレンと過酸化水素、あるいは過酸との反応によっても作ることができる。

エチレンオキシドに酸を触媒として水と反応させるとエチレングリコール (HOCH2CH2OH) が得られる。この反応で水の量を減らせば、ポリエチレングリコール (PEG) が生成する。さらに、水のない条件で酸を作用させるとカチオン重合によりポリエチレンオキシド (PEO) となる。

また、グリニャール試薬 (RMgX) と反応させると加水分解後に第一級アルコール (RCH2CH2OH) となる。3員環の開環によりひずみエネルギーが解放されるため、このほかにもさまざまな求核剤に対するヒドロキシエチル化剤として良い反応性を示す。 アセタール樹脂、エピクロロヒドリンゴムなどの原料として利用される。