炸薬

炸薬(さくやく)は、爆弾などにつめて、爆発(炸裂)させるのに用いるもの。火薬の一種。日本海軍で用いられた用語。

地雷や砲弾、魚雷などに用いられる。これらの爆発の威力は炸薬がいかに速く燃焼するかに係っており、性能を維持・向上させるために不可欠な要素となる反面、火薬の中でも信管以外によるいかなる衝撃や加熱によっても爆発しない鈍感な性質のものが理想とされる。

モンロー/ノイマン効果(モンロー・ノイマンこうか)とは、火薬の爆発に関する現象。薄い金属の内張り(ライナー)を付けてスリバチ状(凹型の円錐状空洞)に成形した炸薬を爆発させると、爆発の衝撃波が円錐中心軸に向かって集中し、中心軸に沿って方向を変え、スリバチの上方に向かって超高速の金属の噴流が作られる現象である。噴流が当たる目標物には深い穿孔がうがたれる。モンロー効果とノイマン効果を合わせてこのように呼ばれる。

金属板の内張りをライナーと呼ぶ、材質によって貫通力が大きく異なる。基本的に高密度な物質ほど貫通力が高くなる傾向がある。一般的に軍用品の場合には、低コストな量産品では深絞りプレス銅板が用いられ、高性能なミサイルなどはタンタル合金を用いる。

成形炸薬弾(せいけいさくやくだん、英語: shaped charge、成型炸薬弾とも表記)は、成形炸薬を用いた砲弾・弾頭である。モンロー/ノイマン効果を利用しており、主に対戦車用砲弾および対戦車ミサイルに用いられる。戦車を標的として開発されたことより対戦車榴弾(HEAT:High-Explosive Anti-Tank)と呼ばれるが、対潜水艦兵器の弾頭としても使用されている[1]。APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)などの運動エネルギー弾に対して「化学エネルギー弾」に分類される。

APFSDS(Armor-Piercing Fin-Stabilized Discarding Sabot)は、戦車の主砲などに使用される砲弾で、装甲を貫くのに特化した砲弾である。日本語では装弾筒付翼安定徹甲弾(そうだんとうつきよくあんていてっこうだん)などといわれる。開発当初はAPDSとの対比としてAPDS-FSと呼ばれていた。この呼称も一部の国で使われている。