気象大学校の試験の英語は東大より難しいという噂がもっぱら。防衛大学校は旧帝大を除く国公立大上位クラス、防衛医大は、やはり国公立大医学部の中でも上位に入ります。

たとえば、国土交通省所管の気象大学校の学生の給与は、採用当初月額15万円弱(昇給あり)。防衛省所管の防衛大学校防衛医科大学校では毎月11万円弱、トヨタ工業学園高等部の生徒には1、2年生で約12万円、3年生で約14万円の給与や手当が支給される。さらに年2回のボーナスが出るのが一般的で、学校によっては扶養手当なども出る。

「学力試験もありますが、面接やその後のキャリアパスも含め、入試というよりは『採用』と考えたほうがいいと思います」

気象大学校(千葉県柏市)[→月々約15万円の給与支給]は、難易度は偏差値71(代々木ゼミナール数値。以下、すべて同)。

一般の大学で気象関連の学問を専攻しても、それを就職につなげることはなかなか難しいのが現実です。でも気象大学校なら、まず間違いなくその道でご飯を食べていける。

「航空管制技術官」を養成するのが、関西国際空港のすぐそばにある航空保安大学校大阪府泉佐野市)[→月々約14万円の給与支給]だ。それぞれの進路に応じ、「航空情報科」と「航空電子科」の2つのコースに分かれている。

航空管制運航情報官を養成する航空情報科のほうは、合格者の女子比率が44%以上と意外に高いのも特徴だ。いずれも2年制で、学士号は付与されないが、卒業後は国交省の職員として、各地の空港などで勤務する。14階建ての寮はすべて個室型。食費や水道光熱費などは自己負担となる。

「飛び交う航空機に次々と指示を出さねばならない業務の性質から、同時に複数のタスクをこなす能力が求められます。学生はふだんの生活でも、仲間同士でテレビゲームをしながらしりとりをするなど、いろいろな『自主トレ』をやっているようです」と石渡氏。試験は1次試験と2次試験に分かれており、1次がペーパー。選択式の基礎能力試験と学科試験で、航空情報科が数学と英語、航空電子科が数学と物理。難易度は偏差値58~57と国公立大学レベル。

海上保安庁の幹部職員を育成するのが、海上保安大学校広島県呉市)[→月々約14万円の給与支給]だ。教育期間は本科4年、専攻科6カ月、研修科3カ月の計4年9カ月。国際法や刑法などの法律、船を動かすための知識、海難救助や海上犯罪摘発に必要な専門知識などをみっちり学ぶほか、乗船実習なども行う(専攻科では世界一周の航海実習も)。本科を修了した時点で、学士号(海上保安)も授与される。卒業後は初級幹部として巡視船に配属される。その後は陸上勤務なども経験しながら、キャリアをアップさせていくことになる。

試験内容は1次が選択式の基礎能力試験と学科試験、記述式の学科試験と作文。2次が人物試験、身体検査・測定、体力検査。筆記の科目は数学、英語、物理または化学。偏差値は56だ。

航空大学校は、偏差値60だ。

防衛大学校(神奈川県横須賀市)[→月々約11万円の給与支給]は、学科は人文・社会科学系が3学科、理工学系が11学科あり、第2学年進級の際に、本人の希望や成績に応じて各専攻に分かれる。もちろん全寮制で、国交省所管の大学校と異なり、水道光熱費や食費も国費で負担される。一方で、6時起床に始まる厳格な日課、平日は外出禁止など、一人前の自衛官と同様の規律を守る生活が求められる。

難易度は人文・社会科学系が偏差値64、理工学系が59で、2013年度の一般採用試験は、12.4倍もの高倍率。

「多数の上位中高一貫校が、難関国公立大受験の力試しとして生徒に受験を勧めていることもあり、かなり難易度は高めです」

防衛医科大学校(埼玉県所沢市)医学科は、自衛隊で働く医師(医官)を養成するための教育機関だ。[→医学科は月々約11万円の手当支給]

在学中の待遇は、防衛大学校とほぼ同じ。6年間で国立大学でも350万、私立医大なら数千万円かかる学費が、すべて無料になるのは大きなメリットで、偏差値は69と受験生の人気も高い。

「ただし卒業後9年間は自衛隊に勤務する義務があり、それ以前に退官した場合は学費の返還義務が生じます」(石渡氏)。返還額は最大約5000万円で、卒業後の勤務期間に応じて減額される。

ほかには、1972年に都道府県が共同で設立した私立大学・自治医科大学(栃木県下野市)の医学部。給料がもらえるわけではなく、寮費月額8500円はかかるが、入学者全員に対して入学金や授業料が貸与される(卒業後の9年間を都道府県が指定するへき地の病院や診療所で勤務することが条件)。募集定員は123人。「へき地医療に生涯を捧げたい」という志の高い人材が殺到する。

大学校の場合は受験としてみた場合、入試の難易度は相当に高い。「気象大学校の試験の英語は東大より難しいという噂がもっぱら。防衛大学校旧帝大を除く国公立大上位クラス、防衛医大は、やはり国公立大医学部の中でも上位に入ります」

面接がある大学校もあるが、「基本的には公務員採用試験と同じと考えてください。ときどき勘違いしてふだんの私服で受けにいく人がいますが、スーツか、高校の制服で臨むのが常識です。

一般的な学校と比べ、これらの学校は通常時はあまり外部との交流がない(業務中と考えれば納得がいく)。また、就職とセットであるために、卒業後の進路変更も容易ではない。

「これらの学校に関心がある場合は、いきなりテストを受けるのではなく、まずオープンキャンパスや学園祭などの機会を逃さず利用することです。入学と同時に将来が決まるわけですから、キャンパスや学生の雰囲気をつかんでみて検討してください」

静岡大学 偏差値55

東京大学 偏差値70

富山大学 偏差値55

名古屋大学 偏差値63

群馬大学 偏差値53

立命館大学 偏差値60

同志社大学 偏差値63

早稲田大学 偏差値70

慶應義塾大学 偏差値72

防衛大学 偏差値64 受験科目 理工学専攻 英語 数学 物理・化学 人文・社会科学専攻 英語及び小論文

横浜国立大学 偏差値65