リサイクルのシンボルマークとして採用されている。メビウスの帯の比喩的表現は不適切な文脈でもしばしば用いられている。帯は1周して戻ってくると向きが逆転している。

有機化合物では、1985年コロラド大学のデーヴィッド・ワルバ (David Walba) らが、メビウスの帯の構造を持つ分子の合成に成功した[17]。

ねじれた環状のπ共役系は通常の芳香族とは逆に 4nπ系が安定となる。これはメビウス芳香族性と呼ばれ、計算化学による予想を経て21世紀初頭に実際に化合物が合成された。

無機化合物では、細長い帯のような結晶なら作れるが、メビウスの帯のようなねじれた結晶をつくるのは無理だと考えられてきた。2002年、北海道大学工学部の丹田聡らが三セレン化ニオブの結晶を変形させ、メビウスの帯状の結晶を作ることに成功した[18][19]。

メビウスの帯はマウリッツ・エッシャー安野光雅タイガー立石などが自身の作品中でモチーフとして利用しており[20]、帯をかたどった彫刻作品も数多く制作されている[21]。

また、循環や再生を想起させることから下図のようにリサイクルのシンボルマークとして採用されているほか[22]、ブラジル・オランダ・ベルギーなどの国で切手に描かれるなど[23]、メビウスの帯をあしらったデザインは多い。

文学作品においてメビウスの帯はしばしば無限の繰り返しを比喩的に表すものとして用いられる(ただし、数学史家のジョン・フォーベルはメビウスの帯の比喩的表現は不適切な文脈でもしばしば用いられていると指摘している[24])。前述のようにメビウスの帯は1周して戻ってくると向きが逆転しているという性質を有していることから、ループ構造を持つプロット(ループもの)や登場人物がなんらかの経験を経て考えをあらためて過去(あるいは元いた場所)に戻る際の比喩としてメビウスの帯が使われることもある。[25]