場合によっては、位相幾何学の道具が必要だが「点集合」は使えないという場面に遭遇することもある。点なし位相(英語版)(非点集合的位相空間論)では理論の基本概念として開集合の束を考える[12]。一方、グロタンディーク位相は任意の圏上に定義される構造で、それら圏上に層を定義することが可能になり、一般コホモロジー論の定義を持ち込むことができる[13]。

位相幾何学の手法を用いると、抽象的な接続関係に関する性質や微小変形で不変な大域的な性質を扱うことができる。数学の一分野として整理される以前より、位相幾何学的手法が単発的に使われてきた(空間中の二つの電流の相互作用に対する、ガウスの線積分表示など)が、二十世紀後半には特に他分野との関連が深まり、現在でも応用領域は広がっている。

応用領域
内容
物理学
宇宙の形状、素粒子の記述体系、量子数の記述、超伝導絶縁体、我々の世界に関する性質(タイムマシンは存在するか?など)。
物質科学
フラーレンなど分子構造。
生命科学
結び目をなす分子の、形状による機能や変形(DNAトポイソメラーゼ)。
情報科学
論理体系の意味論を展開する枠組みとして層 (数学)の利用、経路空間のホモロジーによる記述。またネットワークの取り扱いにおいてはグラフ理論を手段として研究され、一般的にはネットワーク・トポロジーとして知られている。また、人工知能の研究分野では「トポロジカル・データ・アナリシス」(Topological data analysis)技術が発展の見込みにある。
カタストロフィー理論
形態形成、経済現象の記述。
3次元コンピュータグラフィックス
3DCGにおけるモーフィングはホモトピー変形を利用している。また立体計測やデジタルスカルプトで生成された複雑なポリゴンモデルを単純な構造のモデルに作り変える操作をリトポロジー(Retopology)と呼ぶ。

^ a b c 「トポロジー」の語は、複数の異なる意味で用いられるので文脈に注意すべきである。もっとも狭義には、空間内に「近さ」や「極限」の概念を導入する概念である位相、より広義には本項で言う位相幾何学の意味で用いられ、また位相幾何学の同義語として位相数学も用いられるが、最も広義にはトポロジーおよび位相数学は、位相幾何学を展開する基礎付けを与える一般位相(あるいは位相空間論)を指して用いられる (世界大百科事典『トポロジー』 - コトバンク、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『トポロジー』 - コトバンク、ほか)。