明らかに方程式が知られている志村曲線の例は、以下の括弧の中の種数のフルヴィッツ曲線(英語版)(Hurwitz curve)である。 クラインの4次曲面(英語版)(Klein quartic) (種数 3) マクベス曲面(英語版)(Macbeath surface) (種数 7) 第一フルヴィッツトリプレット曲面(英語版)(First Hurwitz triplet) (種数 14) と、次数 7 のフェルマー曲線(英語版)(Fermat curve)である。[3] 志村多様体の他の例は、ピカールモジュ

志村多様体とは代数多様体であってモジュラー曲線の高次元化とみなせるような整数論で重要な対象である。有理数体上の簡約代数群の合同部分群(英語版)(congruence subgroup)によるエルミート対称空間(英語版)(Hermitian symmetric space)として定義される。ヒルベルトモジュラ曲面(英語版)やジーゲルモジュラ多様体(英語版)は志村多様体の例である。

志村多様体ははじめ志村五郎により虚数乗法論の一般化の中で導入された。志村は解析的に定義されたその多様体が数論的な対象であることを示した。すなわち、志村多様体は反射体とよばれる数体の上定義される。1970年代に、ピエール・ドリーニュ(Pierre Deligne)は、志村の仕事の公理的なフレームワークを作り出した。同時期にロバート・ラングランズ(Robert Langlands)は、ラングランズ・プログラムの文脈において、モチーフ的L-函数(英語版)(Motivic L-function)と保型形式のL-函数の対応のある例を志村多様体が作り上げることに注目した。志村多様体コホモロジーの中に現れる保型形式は、一般的な保型形式よりも研究しやすい。たとえば、保型形式に対応するガロア表現を構成することができる。

S = ResC/R Gm複素数から実数への乗法群のヴェイユの制限(英語版)(Weil restriction)[1]とする。これは実代数群であり、群は R-点で、S(R) は C* で、C-点の群は C*×C* である。志村データ(Shimura datum)は、有理数体 Q 上で定義された簡約代数群 G と、次の公理を満たす群準同型 h: S → GR の G(R)-共役類 X からなるペア (G, X) である。

X の任意の h でウェイト(weight)が (0,0), (1,−1), (−1,1) のものは、gC の中にある、つまり、複素化された G のリー代数は下記の直和に分解する。


h(i) の随伴作用はカルタン対合(英語版)(Cartan involution)を GR の随伴群上に引き起こす。
GR の随伴群は、H 上で h の射影が自明となるようなに Q 上に定義された要素 H を持たない。
これらの公理から X は一意な複素多様体の構造(離散的でもよい)を持ち、全ての表現 ρ: GR→ GL(V) に対して、族 (V, ρ ⋅ h) がホッジ構造の正則な族をなし、さらに、ホッジ構造の変形を形成し、X はエルミート対称空間(英語版)(hermitian symmetric domain)の有限個の合併となることを示すことができる。

Aƒ を Q のアデール環とする。十分に小さなコンパクトな G(Aƒ) の開部分集合 K に対して、両側コセット(英語版)空間


は、Γ \ X+ の形をした局所対称多様体(英語版)の有限個の合併である。ここに、プラスの添字は連結成分を表している。多様体 ShK(G,X') は複素代数多様体で、それらは十分に小さなコンパクト開部分空間 K のすべてに対し、函手として逆極限[2]を形成する。この逆極限


は、自然に右作用 G(Aƒ) が作用する。これを志村データ (G, X) に関する志村多様体といい、Sh(G, X) で表す。

エルミート対称空間の特別なタイプと合同群 Γ に対し、 の形の代数多様体とそのバイリー・ボレルのコンパクト化(英語版)(Baily–Borel compactification)は、1960年代に一連の志村五郎の論文で導入された。後日、彼のモノグラフとして出版されているが、志村のアプローチは、虚数乗法論の相反法則の最大限の一般化を追求する研究で、現象的にも広い範囲に及ぶ。時代は遡るが、「志村多様体」と言う命名はピエール・ドリーニュ(Pierre Deligne)が導入し、彼は志村理論の中で独立した抽象的な形をしている部分の研究を推し進めた。ドリーニュの定式化では、志村多様体はホッジ構造のあるタイプのパラメータ空間である。このようにして、彼らは、レベル構造を持つ楕円曲線のモジュライ空間がそうであったように、モジュラ曲線の自然に高次元への一般化を作り出した。多くの場合、志村多様体が解であるようなモジュライ問題は同一視することができる。

F を総実な数体とし、D を F 上の四元数の斜体とする。乗法群 D× は標準的な志村多様体を引き起こす。その次元 d は D が分解する無限の座(place)の数である。特に、d = 1 (例えば、F = Q や D ⊗ R ≅ M2(R))のとき、D× の十分小さな算術的部分群(英語版)(arithmetic subgroup)を固定すると、志村曲線を得ることができ、この構成から得られる曲線は既にコンパクトである(すなわち、射影的)。

明らかに方程式が知られている志村曲線の例は、以下の括弧の中の種数のフルヴィッツ曲線(英語版)(Hurwitz curve)である。

クラインの4次曲面(英語版)(Klein quartic) (種数 3)
マクベス曲面(英語版)(Macbeath surface) (種数 7)
第一フルヴィッツトリプレット曲面(英語版)(First Hurwitz triplet) (種数 14)
と、次数 7 のフェルマー曲線(英語版)(Fermat curve)である。[3]

志村多様体の他の例は、ピカールモジュラ曲面(英語版)(Picard modular surface)やヒルベルト・ブレメンタール多様体(英語版)(Hilbert–Blumenthal varieties)がある。