双対性ということばは、2つの一見異なる物理系が非自明な方法で等価であることが分かることを意味する。

2つの理論が双対関係にあると、一つの理論から何らかの方法でもう一つの理論のように見える結果へと変換できることを意味する。このときに、2つの理論はこの変換の下で互いに双対であるという。別な言い方をすると、2つの理論が同じ現象の数学的には異なる記述となっているとも言える。

S-双対は、結合定数 を持つ理論を、結合定数 を持つ等価な理論と関係付けるので、有益である。このように、S-双対は、強結合の理論(そこでは結合定数 が 1 よりも非常に大きい)を弱結合の理論(そこでは結合定数 が 1 よりも小さく、計算が可能)へと関連付ける。この理由から、S-双対は、強弱双対性と呼ばれる。

マクスウェル方程式の解く(英語版)ような電場と磁場が与えられると、これらの電場と磁場が入れ替えても、新しい場がマクスウェル方程式の解を再び与えるような新しい物理的な設定することが可能となる。

この状況が、場の量子論の中のS-双対の最も基本的な事項である。実際、以下に説明するように、場の量子論フレームワークには、このマックスウェル方程式の対称性を直接一般化したS-双対のバージョンが存在する。

数学では、古典的なラングランズ対応は、数論を表現論として知られている数学の分野と関連される予想と結果の集まりである。[13] ロバート・ラングランズ(Robert Langlands)により1960年代遅くに、ラングランズ対応は谷山・志村予想というような数論の重要な予想と関連している。これは特別な場合としてフェルマーの最終定理を特別な場合として持っている。[13]

数論ではラングランズ対応は重要であるにも関わらず、数論の脈絡でのラングランズ対応の確立は非常に困難である。[13] 結果として、幾何学的ラングランズ対応として知られていることに関連する予想で仕事をしている数学者もいる。これは、元来のバージョンに現れる数体を函数体に置き換えることで、代数幾何学のテクニックを適用して、古典的なラングランズ対応を幾何学的に再定式化することである。[14]

2007年からのアントン・カプスティン(英語版)(Anton Kapustin)とエドワード・ウィッテン(Edward Witten)は、幾何学的ラングランズ対応がモントネン・オリーブ双対性の数学的記述と見なすことができることを示した。[15] S-双対で関連付けられた 2つのヤン=ミルズ理論から始めて、カプスティンとウィッテンは、2次元時空内の場の量子論のペアを構成することが可能であることを示した。何がこの次元簡約(英語版)(dimensional reduction)がD-ブレーン(en:D-branes)と呼ばれる物理的対象となるのかを分析することにより、彼らは幾何学的ラングランズ対応の数学的な要素を再現できることを示した。[16] かれらの仕事は、ラングランズ対応が場の量子論のS-双対に密接に関連していて、双方の対象に有効に適用できることを示した。[13]