どんな人間になりたかった?

その数学者の理論は銀河のように空に昇ってった。歌を奏でたように弧を描きながら。降り注ぐアーチが今は見える。一本の垂線を地平線に落とし、それが波紋のようにどこまでも続いていった。それと真逆な歪な世界を、「だからこそ美しい」とは言えない。この空は少し諦めの跳ね返りがする。

赤子の目をしたとーさんは通さんと左目を切った。切られたあとどう対応したかまで見た。そして左の口へ。それしかなかった。ヒヨって。なにもセーブできなくて。すべてがセーブされている。大きく開いた瞳に注入した毒をすぐさまには抜けなかった。右は無機なものしか食わない。あなたの右には触れません。右はスレッドでカリカリカリ。昔みたいな飲み会は無い。口臭くて電話をためらった。こんなところでも美容とエチケットの問題が。左にペンを持ち替えたら笑い声が聞こえた。だけどそんなんじゃないよ。弱いけど。確かに。ひとり歩きをしたがったのさ。幼稚な白い左が。幼稚に。

頭いっぱいのムダなもの。こんな星くず何の役に立つ?星くず。星くずたち。「カミ」と言えば「フクロ」。