Crafoordpriset Alain Connes

アラン・コンヌ(Alain Connes, 1947年4月1日- )はフランスの数学者。IHÉS、コレージュ・ド・フランスおよびオハイオ州立大学教授。作用素環論や非可換幾何の研究で知られる。

主な受賞歴
CNRS Silver Medal (1977)
Prize Ampère (1980)
フィールズ賞 (1982)
クレイ研究賞 (2000)
クラフォード賞 (2001)
CNRS Gold medal(2004)

高等師範学校卒業後、CNRS、パリ第6大学を経てIHÉS教授となる。1982年にフィールズ賞、2001年にクラフォード賞を受賞した。1984年からコレージュ・ド・フランス教授を兼任。

1970年代に富田・竹崎理論や超積などの手法を駆使して単射的 (injective) または従順 (amenable)、概有限 (approximately finite dimensional, AFD)、超有限 (hyperfinite) とよばれるよい近似的性質を持つ種類のフォン・ノイマン環の構造を解明することでフォン・ノイマン環の分類を劇的に進歩させた。

その後1980年代に葉層構造などに対し付随する作用素環をあたえ、群作用やより一般の力学系による対称性をこめた構造の持つ性質をこれらの作用素環の性質によって特徴付ける研究を行った。アティヤ=シンガーの指数定理の様々な拡張を確立するという立場から、力学系による対称性を持つフレドホルム作用素の指数をとらえるためのK-理論の研究や、また、一般の環に対して定義され、多様体のド・ラームホモロジーを特別な場合として含むような巡回コホモロジーの研究を行っている。このような作用素環論の幾何学への応用を通じ、積の交換法則が成り立たない(非可換な)作用素環によって表されるような「非可換空間」を扱う非可換幾何のパラダイムを提唱した。

1990年代には他の数学者とともに量子ホール効果、超弦理論、ループ量子重力理論、格子ゲージ理論など様々な量子力学的概念に対し非可換幾何の手法が有効であることを示している。また、同じ時期に数論的な構成物に対しても非可換空間の構成が可能であることを示し、有数体 Qのアデール類の空間 A/Qxに対する自然な力学系からリーマンゼータ関数(実際にはより一般に、任意の量指標に関するL関数)の零点のスペクトル実現を得ている。

クラフォード賞 (Crafoordpriset) は、ホルガー・クラフォード(人工腎臓の発明者)及び、彼の妻アンナ=グレタ・クラフォードによって1980年に設立された賞である。

賞はスウェーデン王立科学アカデミーが顕彰に関わっており、ノーベル賞が扱わない科学領域を補完する目的がある。分野は、天文学と数学、地球科学、生物科学(環境や進化の分野)である。

財源を出資した資産家が関節炎に苦しんでいた経緯から、関節炎の研究で進歩をもたらした研究は、特に賞の対象になることがある[1]。実際に2000年以降では、4年に1度程度の頻度で関節炎に関する研究者が表彰されている。

毎年、1つの分野に授賞される。賞金は50万USドルであり、受賞者が研究資金を得ることによって研究の更なる進歩を促進するように意図されている。

1982年(数学): ウラジーミル・アーノルド、ルイス・ニレンバーグ(Louis Nirenberg)
1983年(地球科学): エドワード・ローレンツ、ヘンリー・ストンメル
1984年(生物科学): ダニエル・ハント・ジャンセン
1985年(天文学): ライマン・スピッツァー Jr.
1986年(地球科学): クロード・アレグル、ジェラルド・ワッサーバーグ
1987年(生物科学): ユージン・オダム(Eugene P. Odum)、ハワード・オダム(Howard T. Odum)
1988年(数学): ピエール・ルネ・ドリーニュ、アレクサンドル・グロタンディーク
1989年(地球科学): ジェームズ・ヴァン・アレン
1990年(生物科学): ポール・R・エーリック、エドワード・オズボーン・ウィルソン
1991年(天文学): アラン・サンデージ
1992年(地球科学): アドルフ・ザイラッハー (Adolf Seilacher)
1993年(生物科学): シーモア・ベンザー、ウィリアム・ドナルド・ハミルトン
1994年(数学): サイモン・ドナルドソン、シン=トゥン・ヤウ
1995年(地球科学): ウィリ・ダンスガード(Willi Dansgaard)、ニコラス・シャックルトン
1996年(生物科学): ロバート・メイ
1997年(天文学): フレッド・ホイルエドウィン・サルピーター
1998年(地球科学): ドン・アンダーソン(Don L. Anderson)、アダム・ジウォンスキー(Adam M. Dziewonski)
1999年(生物科学): ジョン・メイナード=スミス、エルンスト・マイヤー、ジョージ・クリストファー・ウィリアムズ
2000年(関節炎): ラヴィンダー・メイニー(Ravinder N. Maini)、マーク・フェルドマン(Marc Feldmann)
2001年(数学): アラン・コンヌ
2002年(地球科学): ダン・ピーター・マッケンジー (Dan P. McKenzie|)
2003年(生物科学): カール・ウーズ
2004年(関節炎): ユージン・ブッチャー(Eugene C. Butcher)、ティモシー・シュプリンガー(Timothy A. Springer)
2005年(天文学): ジェームズ・E・ガン、ジム・ピーブルズ(P. James E. Peebles)、マーティン・リース
2006年(地球科学): ウォーレス・ブロッカー
2007年(生物科学): ロバート・トリヴァース
2008年(数学): マキシム・コンツェビッチ、エドワード・ウィッテン
2008年(天文学): ラシード・スニャーエフ
2009年(関節炎): 岸本忠三、平野俊夫、チャールズ・ディナレロ(Charles A. Dinarello)
2010年(地球科学):ウォルター・ムンク
2011年(生物科学):イルッカ・ハンスキ(Ilkka Hanski)
2012年(天文学):ラインハルト・ゲンツェル(Reinhard Genzel)、アンドレア・ゲズ(Andrea M. Ghez)
2012年(数学):テレンス・タオ、ジャン・ブルガン
2013年(関節炎): ピーター・グレガーセン(Peter K. Gregersen)、 Lars Klareskog、Robert J. Winchester
2014年(地球科学):Peter Molnar
2015年(生物科学):リチャード・レウォンティン(Richard Lewontin)、太田朋子
2016年(天文学):ロイ・カー、ロジャー・ブランドフォード(en:Roger Blandford)
2016年(数学):ヤコフ・エリアシュベルグ(en:Yakov Eliashberg)
2017年(関節炎): 坂口志文、Fred Ramsdell、アレクサンダー・ルデンスキー(Alexander Rudensky) 
2018年(地球科学):真鍋淑郎、スーザン・ソロモン(Susan Solomon)