円とドーナツは同相でない。距離空間。

位相空間は極めて多様であり風変わりなものも多く存在する裏で、位相幾何学の多くの分野では多様体と呼ばれるより馴染みやすい位相空間のクラスが注目される。多様体は各点の近くではユークリッド空間のように見える位相空間を総称して言う。より明確に言えば、n-次元多様体の各点は n-次元ユークリッド空間に同相な近傍を持つ。直線や円周は一次元多様体だがレムニスケートはそうでない。二次元多様体は曲面と呼ばれ、例えば平面や球面やトーラスは三次元空間内に実現することができるが、クラインの壺や実射影平面(英語版)はそうでない。

位相空間論(一般位相)は位相に関する集合論的定義と構成を扱う位相幾何学の分野である[6][7]。位相空間論は微分位相幾何学幾何学位相幾何学および代数的位相幾何学を含む位相幾何学の他の分野の大部分の基礎となる。点集合位相とも呼ばれる。

点集合位相における基本概念は連続性、コンパクト性、連結性である。直観的に言えば、連続写像は近くの点を近くに写す、コンパクト集合は任意に小さな有限個の集合で被覆できる、連結集合は分離された二つの部分に分割されない、ということである。ここで用いた「近く」「任意に小さい」「分離した」といった表現は何れも開集合を用いて明確な言葉に表される。「開集合」の選び方を変更すれば、それにともなって連続写像やコンパクト集合や連結集合の意味するものも変更される。そのような「開集合」の決め方のそれぞれを位相と呼ぶ。位相を備えた集合は位相空間と呼ばれる。

距離空間位相空間の重要なクラスであり、そこでは距離函数が任意の二点間に距離と呼ばれる数を割り当てることができる。距離を持つことで多くの証明が簡明になり、またよく知られた位相空間の多くが距離空間になる。