ジャームライン

ジャームライン。名前だけが遺伝している。それさえも自分のものでないと思う。放射性に侵されている。残った。鉛の滓の落ち葉を拾う。確かに君がいたことはその名前の感触だけが残っている。もう一度その名前の感触を見つめた。手を出せるわけないよな。美しい完全体の君を。美しい君のことだから。どんな個人の情報のすべてが明らかになったって。生まれては消える命のライン。風のように。飛んでいけるようなときもあった。結んで開いて。あのときの風と似たような風も。命を結んでは離れていった。もうそこにあった地球も。祈りもない。君が生まれた朝に。天と呼べるようなものは何も。君が見た景色以外は。