結局移動することと空間をねじ曲げることは同じなのではないか。ならば銀河の果てまで行く必要はなく、ねじ曲げればよい。円盤の直径は10万光年だが、厚さは2,000光年なのだ。どう考えても端まで行って出るのは現実的ではない。10億年かかって1回転するなら、同じ場所ですべての銀河をねじ曲げたら、それは10億年でブラックホールの核をもたない川っぽいものになる。この川っぽいものでわれわれは移動することができる。アメーバのような乗り物になる。たとえばアンドロメダとの衝突において、この運河によって衝突の危険なときを回避したりすることもできる。いわゆる筋斗雲のような、マジックカーペットのようなものになる。できれば衝突することのない銀河全体を川の流れのようにできれば、一生安泰だ。ただ宇宙の終わりは空間図形そのものが膨張していると聞く。この乗り物も、終電に乗り遅れたようになる可能性もある。いずれ光速より速く膨張するとは、ふつうに考えてボンドがない。因果の因がない。しかしこうなったときに役に立ってくれるのは、いままで敵対していたブラックホールだ。これによって見事に釣り合いがとれて、脱出できなかった光が、一気にブラックホールから脱出を始めるということだ。宇宙の膨張が光速を超えるとは、ブラックホールが宇宙を生産し出す瞬間でもある。つまりブラックホールの重力から解放される瞬間でもあるのだ。だがかのダークエネルギーは銀河の構成そのものを破壊するものではないと聞く。銀河間の距離だけが引き離されていくと。空間図形が引き延ばされてブラックホールから脱出できる図形の分量は計り知れないが、いずれにせよ図形的な概念であるのなら、ブラックホールと膨張宇宙の均衡点に川を並べるのが、一番長持ちするといえる。