外務省機密漏洩事件

この外交交渉を取材していた毎日新聞社政治部記者の西山太吉は、

外務省の女性事務官[注釈 1]から複数の秘密電文を入手し、

日本国政府は密約を否定。東京地検特捜部は

同年、

情報源の事務官を国家公務員法(機密漏洩の罪)、西山を国家公務員法(教唆の罪)で逮捕

した。

新聞記者らが取材で知り得た機密情報を国会議員に漏洩し、

国家公務員法違反

により最高裁判所で有罪判決が確定した。

外務省担当記者であつた被告人が、外務審議官に配付又は回付される文書の授受及び保管の職務を担当していた女性外務事務官に対し、「取材に困つている、助けると思つて安川審議官のところに来る書類を見せてくれ。君や外務省には絶対迷惑をかけない。

特に沖縄関係の秘密文書を頼む。」

 

報道機関が公務員に対し秘密を漏示するようにそそのかしたからといつて、直ちに当該行為の違法性が推定されるものではなく、それが

真に報道の目的からでたものであり、

その手段・方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして社会観念上是認されるものである限りは、実質的に違法性を欠き

正当な業務行為である。

当初から

秘密文書を入手するための手段として利用する意図で女性の公務員と肉体関係を持ち、同女が右関係のため被告人の依頼を拒み難い心理状態に陥つたことに乗じて秘密文書を持ち出させた

など取材対象者の人格を著しく蹂躪した本件取材行為(判文参照)は、正当な取材活動の範囲を逸脱するものである。

司法担当記者の田中浩は「検察が西山太吉記者と女性事務官との関係を切りこんでくるのは目に見えていた。

低俗な倫理観で揺さぶられてはたまったものではない」

「われわれは西山記者の私行についておわびするとともに、同時に、

問題の本質を見失うことなく主張すべきは主張する態度にかわりのない

ことを重ねて申述べます」

裁判の審理も男女関係と機密資料の入手方法に終始した。

1978年5月30日 - 最高裁判所が上告棄却。西山の有罪が確定。

1974年1月30日 - 一審判決。女性元事務官に懲役6月・執行猶予1年、西山には無罪判決。毎日新聞退職。

1976年7月20日 - 二審判決。西山に懲役4月・執行猶予1年の有罪判決。西山側が上告。