MR

複合現実(ふくごうげんじつ、英: Mixed Reality、MR)とは、現実空間と仮想空間を混合し、現実のモノと仮想的なモノがリアルタイムで影響しあう新たな空間を構築する技術全般を指す。ミクスト・リアリティ[注 1]、複合現実感とも。拡張現実 (AR) と拡張仮想 (AV) を包含する概念である。

空間的整合性、時間的整合性、光学的整合性など実空間と合致させる要素によって、その性質が評価される。

拡張現実(かくちょうげんじつ、英: Augmented Reality、オーグメンティッド・リアリティ、AR)とは、人が知覚する現実環境をコンピュータにより拡張する技術、およびコンピュータにより拡張された現実環境そのものを指す言葉。

英語の Augmented Reality の日本語訳であるため、それを日本語発音した「オーグメンティッド・リアリティ」や省略形のARも用いられる。また、拡張現実感(かくちょうげんじつかん)、強化現実(きょうかげんじつ)、増強現実(ぞうきょうげんじつ)とも言う。似た言葉に複合現実 (MR) がある。

拡張現実は仮想現実(バーチャルリアリティ = VR)の変種であり、その時周囲を取り巻く現実環境に情報を付加・削除・強調・減衰させ、文字通り人間から見た現実世界を拡張するものを指す[1]。 バーチャルリアリティが人工的に構築された現実感と現実を差し替えるのに対し、拡張現実は現実の一部を改変する技術である。例えばバーチャルリアリティでは、仮想の部屋に居て、仮想のテーブルに置かれた仮想のティーポットを見ているかのような五感情報を人に提示するのに対し、拡張現実では人が実際に居る現実の部屋のテーブルの上に、仮想のティーポットが置かれているかのような情報提示を行う。コンピュータ情報を付加して現実の情報を実態よりも強化・増強して人間に提供することから強化現実・増強現実と呼ばれることもある。現実環境を情報ソースとして用いることから必然的にリアルタイム処理を必要とする場合が多い。技術課題としてはバーチャルリアリティでのそれに加えて、仮想物体と現実環境・物体との相互作用、例えば視覚要素では照明、影、接触、隠蔽などを解決することが特に課題になる。

コンピュータが現実を拡張する手段としては、視覚・聴覚・触覚など、人のすべての感覚器官と体性感覚に対する情報提示が試みられている。バーチャルリアリティでは、人に提示する仮想物体のリアリティが重視されるのに対して、拡張現実では、現実世界の位置や物体などのコンテクストとの関連性も重視される。後者に重きを置いたシステムでは、例えば場所や物の説明を文字や音声で行うなど、現実を拡張する手段として単純な情報提示手法が用いられることもある。

多くのシステムでは、情報の提示や取得に、バーチャルリアリティで広く利用されているデバイス、もしくは技術が利用される。例えば、視覚情報提示には主にヘッドマウンテッドディスプレイが利用される。しかし、現実環境における作業を支援する意図から、携帯電話等の小型情報端末の画面を用いた提示も検討されている。

提示される環境の主体が現実環境であることから、現実環境における作業支援がその応用分野として期待されている。例えば、道案内情報の提供、航空機やコピー機のメンテナンスを行う技術者に対する技術情報提供、医療分野における手術支援[2]に向けた情報提示などの応用研究が行われている。

一般消費者向けのサービスを作るためによく行われている手法に、ARToolKitなどの画像認識ルーチンを利用して、2次元コードパターンや静止画など(「ARマーカー」などと呼ばれる)をデジタルカメラで撮影すると、それをマーカーとして映像にマッチムーブした3DCGアニメーションがリアルタイムで合成表示されたり、静止画に合ったコンテンツが表示される物がある。

以前からAH-64 アパッチには暗視装置の画像を表示するAN/AAQ-11が搭載されていた。

軍事演習のために拡張現実を利用したXARMEXというシステムが開発中[18]。

ヘッドマウントディスプレイ(英語: Head Mounted Display、略称: HMD、頭部装着ディスプレイ)は、頭部に装着するディスプレイ装置のことである。ウェアラブルコンピュータの一つ。スマートグラスとも呼ばれる。

両眼・単眼に大別され、目を完全に覆う「非透過型」や「透過型」といったタイプがある。3D/2Dにも分類できる。

虚像投影
ハーフミラーなどを利用することにより虚像を形成し、映像を観察できるようにするもの。
網膜投影
目の水晶体を利用して網膜に直接結像させるもの。利用者が近視や遠視などでも鮮明な像を見ることができる。ただ、眼球運動に左右されるため実装が非常に難しい。

nucleon resonance〜原子核によるX線の共鳴吸収現象

Qスイッチとは、ジャイアントパルス(エネルギーの高いレーザー光)を得るために使用されるレーザーの技術。

一般的に、励起→反転分布→誘導放出の過程を経て得られる光の増幅はそう大きくない。 そこで、Q-スイッチ法では非常に多数の原子が励起状態になるまでQ値を低くして発振を抑え、十分に多くなったのち再びQ値を高くし発振させる方法である。 例えるなら、ダムに貯まった水を一気に放出するようなものである。 具体的な方法としてレーザー媒質と出力ミラーの間に回転プリズムや吸収体を置いたり、出力ミラー自身の位置を変えるといったさまざま方法がとられる。

メスバウアー効果(メスバウアーこうか、英: Mössbauer effect)とは、1958年にルドルフ・メスバウアーによって発見された結晶体状のガンマ線放射線源とその吸収体の間に発生する共鳴吸収現象を言う[1]。

メスバウアー効果により、光のドップラー効果を極めて高い精度で検出することができるようになった。また、分光法の一つの手法であるメスバウアー分光法(Mössbauer spectroscopy)の原理でもある。

原子核ガンマ線を放射し、もう一方の同じ原子核がそのガンマ線を共鳴吸収する現象をメスバウアー効果(Mössbauer effect)と呼ぶが、ガンマ線のエネルギーは一般に大きく、放射あるいは吸収過程で原子核を反跳させるために極めて起こりがたく[2]、気体や液体状態中の原子核では起こらない[3]。

1958年に当時博士課程の学生であったルドルフ・メスバウアーは、ガンマ線放射線源であるイリジウム191を結晶でつなぎ止めさらに冷却することで、原子核の反跳そのものを無くし、原子間の共鳴吸収現象を発生させることに成功した[4]。

メスバウアーによるイリジウム191によるメスバウアー効果の発見後、他にも共鳴吸収現象を起こす原子核が発見された。現在において、メスバウアー効果を観察するにあたって最もよい物質は鉄57(57Fe)であることが知られている[5]。

メスバウアー効果は極めて鋭敏な効果であり、放射線源または吸収体をわずかに運動させるだけでも共鳴吸収現象は発生しなくなる。これは、光のドップラー効果を検出するにあたって非常によい性質であり、メスバウアー効果の発見以前には到底実験的に検出不可能であると考えられていた現象も検証することができるようになった。

反跳によって失われるエネルギーERは、運動量保存則とエネルギー保存則より、

E
R
=
E
γ
2
2
M
c
2
{\displaystyle E_{R}={\frac {E_{\gamma }^{2}}{2Mc^{2}}}}
ここで Eγはガンマ線のエネルギー、M は放射または吸収を行う物体の質量、c は光速度である。

気体の場合、吸収・放射を行うのは原子であり、質量は非常に小さい。その結果気体によるガンマ線の共鳴は起こりにくい。X線の場合、光子のエネルギーはガンマ線のエネルギーに比べてずっと小さいので、失われるエネルギーも小さい。

固体ではフォノンのエネルギーが反跳エネルギーよりも大きいので、ガンマ線を共鳴吸収できる。メスバウアー効果はメスバウアー分光法として、固体の結合状態を調べるのに利用される。例えばよく用いられるFeの分光では、Feの価数、高スピンなのか低スピンなのか、またその配位数などに応じてピーク位置が変わるため、得られた結果を標準的なピークの足し合わせとして解釈することで、試料中でFeがどのような状態にいるのかを解明することができる。

フォノン(英: phonon)、音子、音響量子、音量子は、振動(主に結晶中での格子振動)を量子化した粒子(準粒子、素励起)である。

フォノンは結晶格子という原子の集団がつくる構造に「支えられて」存在している。あるいは結晶格子という構造の上にフォノンという粒子たちが「宿っている」と言ってもいい。原子や電子とは根本的な素性は異なっていても、原理的には1つ、2つと数えられる、各々の粒子がエネルギーや運動量を持っているといった点では完全に一人前の粒子である[1]。

フォノンのひとつひとつがある振動数を持つモードの単位を表す。振幅が大きくなる、詰まり、振動が激しくなることはフォノンの数が増えることで表される。

フォノンを持つ液体としては、超流動を示すヘリウム4がある。[2]

原子核表面の核子の振動を量子化したものもフォノンと言う。

ハイペロン(英: hyperon)は、ストレンジクォークを含むが、チャームクォーク、ボトムクォークおよびトップクォークを含まないバリオンである[1]。言い換えると、ストレンジネスを持つが、チャーム、ボトムネス、トップネスを持たないバリオンである

すべてのハイペロンは、バリオンでありフェルミオンである。すなわち、それらは半整数スピンを持ちフェルミディラック統計に従う。それらはすべて強い核力を経由して相互作用し、ハドロンを形成する。それらは三つの軽いクォークから構成され、少なくともその一つはストレンジクォークである。ストレンジクォークを含むため、それらはストレンジバリオンである。ハイペロンは パリティ非保存の弱い崩壊をする。

寿命は10-10~10-8秒と、核子に比べきわめて短命であり、その質量は核子より数割重たい。また、1つの核子と、1つまたはいくつかの中間子に崩壊する。

ハイペロンの種類には、Σ粒子、Ξ粒子、Λ粒子、Σ*粒子、Ξ*粒子、Ω粒子がある。アイソスピンの第3成分を考慮に入れる(アップクォークダウンクォークを区別する)と、全部で12種類が存在する。

シグマハイペロンは、Σ+
、Σ0
およびΣ−
の三種類が存在する。それらは、約1190 MeVの静止エネルギーおよび約1×10−10 秒の寿命を持つ。Σ0
は例外でその寿命は1×10−19 秒以下である。

ラムダハイペロンは、Λ0
の一種類が存在する。それは、1115 MeVの静止エネルギーおよび2.6×10−10 秒の寿命を持つ。

グザイハイペロンは、Ξ0
およびΞ−
の二種類が存在する。それらは、1315 MeVおよび1320 MeVの静止エネルギーと2.9×10−10 秒および1.6×10−10 秒の寿命を持つ。

オメガハイペロンは、Ω−
の一種類が存在する。それは、1670 MeVの静止エネルギーおよび8.2×10−11 秒の寿命を持つ。

sdd = Σ-
(sud + sdu) / √2 = Σ0
uus = Σ+
dss = Ξ-
uss = Ξ0
(sud - sdu) / √2 = Λ0

(sdd + dsd + dds) / √3 = Σ*-
(uds + sdu + usd + dsu + sud + sdu) / √6 = Σ*0
(uus + usu + suu) / √3 = Σ*+
(dss + sds + ssd) / √3 = Ξ*-
(uss + sus + ssu) / √3 = Ξ*0
sss = Ω-

ストレンジネスは強い相互作用によって変換されるので、基底状態ハイペロンは強い崩壊をしない。しかしながら、それらは強い相互作用に関与している。

ストレンジネスは、強い相互作用および電磁相互作用反応において、短時間で起こる粒子の崩壊の性質を記述する。

ストレンジネスは次のように定義される:

S
=

(
n
s

n
s
¯
)
S=-(n_{s}-n_{{\overline {s}}})
ここで、 nsはストレンジクォーク (s) の数、nsは反ストレンジクォーク (s) の数を表す。


ストレンジネスによる中間子の分類。S はストレンジネス、Q は電荷を示す。

ストレンジネスによるバリオンの分類。S はストレンジネス、Q は電荷を示す。

現在までに分かっていることによると、ストレンジネスは強い相互作用および電磁相互作用では保存するが、弱い相互作用では保存しない。結果的に、ストレンジクォークを含む最も軽い粒子は強い相互作用で崩壊せず、代わりに非常に崩壊速度の遅い弱い相互作用で崩壊すると考えられている。ほとんどの場合、これらの崩壊はストレンジネスの値を一単位だけ変える。しかしながら、これはK0
およびK0
中間子の混合がある秒オーダーの弱い反応においては、必ずしも成り立たない。

Λ0
→ p+
+ π−

Λ0
→ n0
+ π0

Λ0
も次の過程により滅多に起こらない崩壊をする:

Λ0
→ p+
+ e−
+ ν
e
Λ0
→ p+
+ μ−
+ ν
μ

+
→ p+
+ π0

Σ+
→ n0
+ π+

Σ0
→ Λ0
+ γ
Σ−
→ n0
+ π−

0
→ Λ0
+ π0

Ξ−
→ Λ0
+ π−

Ξ粒子は、"カスケード"ハイペロンとしても知られる。それらは最初にΛ0
へ崩壊しπ±
を放射することで核子へ崩壊する二段階カスケード崩壊を起こすことからこの名前が付いた。

Ω−
は、バリオン数+1および超電荷-2を持ち、そのストレンジネスは−3となる。それは陽子または中性子へ崩壊する多重フレーバー変換弱崩壊を起こす。マレー・ゲルマンのSU(3)モデル(ときに八道説と呼ばれる)はこのハイペロンの存在、質量および弱崩壊のみが可能であることを予測する。

その存在に対する実験的証拠は、1964年にブルックヘブン国立研究所で発見された。粒子加速器によるその形成と観測のさらなる例によって、SU(3)モデルは確証されている。

Ω−
→ Ξ0
+ π−

Ξ0
→ Λ0
+ π0

Λ0
→ p+
+ π−

特殊ユニタリ群 SU(n) はユニタリ群 U(n) の部分群であり、さらに一般線型群 GL(n, C)の部分群である。

特殊ユニタリ群は素粒子物理学において、電弱相互作用のワインバーグ=サラム理論や強い相互作用量子色力学、あるいはそれらを統合した標準模型大統一理論などに出てくる。

n 次のユニタリ群(ユニタリぐん、英: unitary group) U(n) とは、n 次ユニタリ行列のなす群のことである。演算は行列の積で与えられる。

ユニタリ群は一般線型群の部分群である。

複素数体上のユニタリ群
U⁡(n) ={U∈GL⁡(n,
C
)∣∀x,y∈
C
n
:⟨Ux,Uy⟩=⟨x,y⟩} ={U∈GL⁡(n,
C
)∣
U

U=
I
n
}{\begin{aligned}\operatorname {U} (n)&=\{\,U\in \operatorname {GL} (n,\mathbb {C} )\mid \forall x,y\in \mathbb {C} ^{n}:\langle Ux,Uy\rangle =\langle x,y\rangle \,\}\\&=\{\,U\in \operatorname {GL} (n,\mathbb {C} )\mid U^{\dagger }U=I_{n}\,\}\end{aligned}}
ここで GL(n, C) は一般線型群、〈-, -〉はエルミート形式、†はエルミート共役である。

つまりユニタリ群の元は有限次複素線型空間のエルミート形式を―したがってノルムを―保つ。これは「絶対値が 1 の複素数」の線型変換における類似物である[1]。

一般の体上のユニタリ群
ユニタリ群は一般の体上では次のように定義される。 基礎体 K の2次拡大体 L をとる。 線型空間 V = Ln 上のエルミート形式


x
,
y

=
x
1
y
1
¯
+

+
x
n
y
n
¯
(
x
=
(
x
i
)
,

y
=
(
y
i
)

V
)
\langle x,y\rangle =x_{1}{\overline {y_{1}}}+\dotsb +x_{n}{\overline {y_{n}}}\qquad {\big (}x=(x_{i}),\ y=(y_{i})\in V{\big )}
(ここで
y
i
¯
{\overline {y_{i}}} は代数共役を表す) を不変に保つ V 上の線型自己同型写像のなす群を U(n, K, L) と表し、これをユニタリ群という。

U

(
n
,
K
,
L
)
=
{
U

GL

(
n
,
L
)


x
,
y

V
:

U
x
,
U
y

=

x
,
y

}
\operatorname {U} (n,K,L)=\{\,U\in \operatorname {GL} (n,L)\mid \forall x,y\in V:\langle Ux,Uy\rangle =\langle x,y\rangle \,\}

4元体を F4 = {0, 1, ω, ω2} とする。 ただし演算は関係式 ω2 + ω + 1 = 0 から定める。このとき U(2, F2, F4) は位数18の群で次の2元から生成される。

U

(
2
,
F
2
,
F
4
)
=

(
ω ω 0 ω
)
,

(
0 1 1 0
)

複素数体上のユニタリ群は以下の性質を満たす。

最も単純な n = 1 の U(1) は巡回群に対応し、絶対値が1の複素数からなる。全てのユニタリ群は U(1) のコピーを含む。
ユニタリ群 U(n) は次元 n2 の実リー群である。
U(n) のリー代数は n 次歪エルミート行列からなり、その括弧積は交換子で与えられる。

位数最小の有限体は集合としては F2 = Z/2Z = {0, 1} で、演算は次で定める。 これは2を法とした余りで加法と乗法を定めていると言ってもよい。

同様の構成は一般の素数 p に対しても成り立つ。 整数環 Z の p の倍数全体 pZ は素イデアルで、整数環がPIDなので、特に極大イデアル。 したがって剰余環 Fp = Z/pZ は p 個の元からなる体である。

素数位数とは限らない有限体も存在する。 F2 係数一変数多項式環 F2[x] を考える。その既約多項式 f(x) = x2 + x + 1 の生成する素イデアル (f(x)) は、 F2[x] がPIDなので、特に極大イデアル。 したがって剰余環 F4 = F2[x]/(f(x)) は 4 個の元からなる体である。 変数 x の自然な全射による像を ω とおくと、 F4 = {0, 1, ω, ω2} と表せ、その演算は関係式 ω2 + ω + 1 = 0 から定まる。

同様の構成は一般の素数 p に対して成り立ち、任意の拡大次数 d をもつ拡大体が構成できる。 そのとき次数 d の既約多項式としてはコンウェイ多項式(有限体)(英語版)を取ればよい。

K を有限体とし、その位数を q とする。K の素体の位数も有限であるから、K はある素数 p に対する有限体 Fp = Z/pZ を素体として含み、素体 Fp の有限次代数拡大である。その拡大次数 [K : Fp] が n ならば、加法群として K は n 次元の Fp-ベクトル空間と同型であるので、K の位数 q は pn に一致する[1]。また乗法群 K× は位数 q − 1 の巡回群と同型である[1]。

K を含む Fp の代数閉包を (Fp)^ とする。このとき K は、 (Fp)^ の元で、重根を持たない方程式 xq − x = 0 を満たすものの全体として特徴付けられる。特に位数が pn の有限体は同型を除いて唯一つ存在する[1]。この一意性により、位数 q の有限体を Fq または GF(q) などと表すことがある。また、有限体 Fq と自然数 m に対し Fq の m 次拡大体は唯一つ存在し、Fqm と同型であるということもわかる。さらに Fqm の各元の Fq 上の最小多項式は xqm − x を割り切るので、有限体の拡大はすべて分離的である。つまり有限体は完全体である。さらに q 乗フロベニウス写像とよばれる自己同型写像

σ
:
F
q
m

F
q
m
;

a

a
q
\sigma \colon {\textbf {F}}_{{q^{m}}}\to {\textbf {F}}_{{q^{m}}};\ a\mapsto a^{q}

を考えると、拡大 Fqm/Fq のガロア群 Gal(Fqm/Fq) = AutFq(Fqm) はフロベニウス写像で生成される。つまり、

G
a
l
(
F
q
m
/
F
q
)
=

σ

=
{
i
d
F
q
m
,
σ
,
σ
2
,

,
σ
m

1
}
{\mathrm {Gal}}({\textbf {F}}_{{q^{m}}}/{\textbf {F}}_{{q}})=\langle \sigma \rangle =\{{\mathrm {id}}_{{{\textbf {F}}_{{q^{m}}}}},\sigma ,\sigma ^{2},\ldots ,\sigma ^{{m-1}}\}

と表される[2]。したがって、有限体の拡大はすべて巡回拡大であるガロア拡大である。

有限体は代数的閉体でありえない。

有限体 Fqm の元 α, αq, …, αqm − 1 が Fq 上のベクトル空間 Fqm の基底をなすとき,この基底を正規基底という。正規基底は常に存在する[3]。

リード・ソロモン符号など基本的なものを含む多くの誤り検出・訂正は、GF(2)、GF(22)、GF(24)、GF(28)、GF(216) などを使う。
AES、Camelliaなど、2000年代以降の共通鍵暗号の多くは、SボックスにGF(28) を使う。
楕円曲線暗号は、きわめて大きな位数の有限体、たとえばGF(2400) などを使う。
Camellia(カメリア)とは、2000年にNTTと三菱電機により共同開発されたブロック暗号である。名称の由来は植物のツバキ(ツバキ属:Camellia)。

CamelliaはFeistel構造を採用したブロック長128ビットのブロック暗号で、鍵長としてAESと同じ128ビット、192ビット、256ビットの3つを選択できる。また、CamelliaはAESと同等の安全性を保ちつつハードウェアでの低消費電力で高速な暗号化・復号に優れている。

ハイペロンは通常の原子核には含まれないので、原子核内でパウリの排他原理の制約を受けない。そのため、ハイペロンを使って原子核の内部を探ることができる。

ハイペロン-核子相互作用を研究することで、一般化された強い相互作用の性質がわかる。ハイパー核を作りそのエネルギー準位を調べることによって、この相互作用の研究が行われている。

ハイペロンの初めての研究は1950年代に始まった。物理学者たちは粒子の組織的な分類を作り上げることに駆り立てられた。今日、この領域の研究は、CERNフェルミラボ、SLAC、JLAB、ブルックヘブン国立研究所、KEKなどの世界中の多くの施設から得られるデータに対して行われている。ハイペロンに対する議題は、CP対称性の破れの探索、スピンの計測、励起状態の研究(一般的に分光学と呼ばれる)そしてペンタクォークおよびダイバリオンのようなエキゾチック状態の探索などがある。

核子励起状態核子共鳴(nucleon resonance)と呼ばれる。 これらの状態は、核子を構成するクォークのスピンや軌道角運動量の異なる状態として解釈される。励起状態の質量は基底状態よりも重く、平均寿命は短くなっている。

バリオン励起状態を便宜的に区別する記号としてN(M) L2I2Jという表記がしばしば用いられる。ここで、Mは状態の質量、Lは軌道角運動量、2Iはアイソスピンの2倍、2Jは全角運動量の2倍を表す。

以下の表では、現在までに知られている核子励起状態の中で、Particle Data Groupによってその存在が十分確からしいとみなされている状態のみを示す。各状態には陽子のようなuudクォークから構成される荷電粒子と、中性子のようなuddクォークから構成される中性粒子、さらに、それらの反粒子uud、uddが存在する。

 

 

strong CP problem〜物理的根拠の異なる二つの量が高い精度で相殺されるのは極めて不自然なことであり、何らかの説明が必要である

量子色力学においては、電荷共役と空間反転のオペレータであるCP変換を施した場合、理論は一般には不変にならない。すなわち、量子色力学でCP対称性が成り立つのは特別な場合である。 これは量子色力学での真空がもつ位相が一般にはゼロでないことを意味する。さらに標準模型ではそれと全く関係のないクォークの質量行列の位相を足しあげた後でゼロになることが必要である。 量子色力学におけるCP対称性の破れは中性子の電気双極子などを通して観測できるが、観測事実により、きわめて高い精度でCP対称性が成立していることが分かってきた。 物理的根拠の異なる二つの量が高い精度で相殺されるのは極めて不自然なことであり、何らかの説明が必要であると考えられた。 この問題は強いCP問題(strong CP problem)と呼ばれている。

アクシオンが存在すれば、その謎をいとも簡単に説明してくれる。このような特性を持つ素粒子があるとすれば、これまで行われてきた実験や観測、宇宙論と矛盾しないようなものであると考えられる。そのような検討の結果、質量は電子の約1億分の1以下という非常に微小なものだと考えられている。

さらにはアクシオンは強い磁場の中で光に変わると予測されており、この性質を利用して検出が世界各国で試みられている。たとえば東京大学のグループは、太陽から飛来するアクシオンを強磁場を印加してX線に変換し検出する試みを行っている。暗黒物質の候補にもあげられているため、京都グループはリドベルグ原子を用いて検出する独自のアイディアにより探索を続けている。アメリカのグループは、超伝導磁石を用いた強磁場の元で暗黒物質アクシオンが電磁波に変換して検出を試みる最先端にいる。最近では素粒子実験物理学のメッカであるヨーロッパのCERNにおいても、太陽から飛来するアクシオンを大変高い感度で検出を試みる実験が進められている。

リュードベリ定数(リュードベリていすう、英: Rydberg constant)は、原子の発光および吸収スペクトルを説明する際に用いられる物理定数である。記号は R∞ などで表される。名称はスウェーデンの物理学者ヨハネス・リュードベリに因む。

リュードベリ定数の値は

R

=10 973 731.568 508(65)
m

1
=1.097 373 156 8508(65)×
10
7

m

1
\begin{align}
R_\infty &= 10\ 973\ 731.568\ 508(65)\ \text{m}^{-1} \\
&=1.097\ 373\ 156\ 8508(65)\times 10^7\ \text{m}^{-1}
\end{align}

である(2014CODATA推奨値[1])。

原子は特有な線スペクトルの配列をもつ。 水素原子の線スペクトルはもっとも簡単な配列をしており、ヨハン・ヤコブ・バルマーは可視光域の線スペクトルの波長 λ が

λ
=
n
2
n
2

4
×
364.56

nm
\lambda =\frac{n^2}{n^2-4}\times 364.56\ \text{nm}

と表されることを発見した。

リュードベリは他の原子の線スペクトルの波長 λ が、適当な正の整数 m, n (n>m) を用いて

1
λ
=
ν
c
=
R

(
1
(
m
+
a
)
2

1
(
n
+
b
)
2
)
\frac{1}{\lambda} =\frac{\nu}{c}
=R_\infty \left( \frac{1}{(m+a)^2} -\frac{1}{(n+b)^2} \right)

と表されることを発見した[2]。これはリュードベリの公式と呼ばれる。 係数 R∞ は原子の種類によらない普遍定数であり、これがリュードベリ定数である。 a, b は原子ごとの線スペクトルの系列によって近似的に一定の値をとる定数である。 水素原子では a=b=0 であり、バルマーが示した式は m=2 の特別の場合である。

観測結果から求められたリュードベリ定数であったが、20世紀に入り量子力学が発展すると、ボーアやゾンマーフェルトによって理論的に他の物理定数と関係づけられることが示された。 ボーアの原子模型によれば、リュードベリ定数は、電子の質量 me、電気素量 e 、光速度 c、プランク定数 h、真空の誘電率 ε0 を用いて、

R

=
m
e
e
4
8
ϵ
0
2
h
3
c
R_\infty =\frac{m_\text{e} e^4}{8\epsilon_0^2h^3c}

と表すことができる。 微細構造定数 α を用いると、

R

=
α
2
m
e
c
2
h
R_\infty = \frac{\alpha^2 m_\text{e} c}{2h}

と簡略化できる。また、ハートリーエネルギー Eh を用いて、

R

=
E
h
2
h
c
R_\infty = \frac{E_\text{h}}{2hc}

と表すこともできる[3]。

微細構造定数(びさいこうぞうていすう、英: fine-structure constant)は、電磁相互作用の強さを表す物理定数であり、結合定数と呼ばれる定数の一つである。電磁相互作用は4つある素粒子の基本相互作用のうちの1つであり、量子電磁力学をはじめとする素粒子物理学において重要な定数である。1916年にアルノルト・ゾンマーフェルトにより導入された[2][3]。記号は α で表される。無次元量で、単位はない。

微細構造定数の値は

α
=
7.297

352

5664
(
17
)
×
10

3
{\displaystyle \alpha =7.297\ 352\ 5664(17)\times 10^{-3}}

である(2014CODATA推奨値[1])。微細構造定数の逆数(測定値)もよく目にする量で、その値は

α

1
=
137.035

999

139
(
31
)
{\displaystyle \alpha ^{-1}=137.035\ 999\ 139(31)}

である[4]。

歴史的な経緯から電磁気量に関する量体系には幾つかの種類があり、量体系に依って微細構造定数と他の物理定数との関係式が異なる。なお、微細構造定数は無次元量であり、量体系に依らず、値は変わらない。

国際量体系 (ISQ) において微細構造定数は

α
=
e
2
4
π
ε
0

c
\alpha ={\frac {e^{2}}{4\pi \varepsilon _{0}\hbar c}}

と表わされる[5]。ここで、ħ はディラック定数、c は真空中の光速、e は電気素量、ε0 は電気定数である。電磁相互作用の強さの尺度である電気素量を、量子論を特徴付ける定数であるプランク定数と、相対論を特徴付ける定数である光速度と関連付けている量といえる。なお、電気定数 ε0 の代わりに磁気定数 μ0 を、ディラック定数 ħ の代わりにプランク定数 h を用いると

α
=
μ
0
e
2
c
2
h
{\displaystyle \alpha ={\frac {\mu _{0}e^{2}c}{2h}}}

と表すこともできる[6]。

また、CGSガウス単位系は 4π = ε0 = 1 とする量体系に基づいているので

α
=
e
2

c
{\displaystyle \alpha ={\frac {e^{2}}{\hbar c}}}

と表される[6]。

さらに、素粒子物理学ではしばしば c = ħ = ε0 = 1 に固定する自然単位系が用いられるので[7][8]

α
=
e
2
4
π
{\displaystyle \alpha ={\frac {e^{2}}{4\pi }}}

と表される[7][9]。

なお、古典電子半径 re =
e2
4πε0mec2
とボーア半径 a0 =
4πε0ħ2
mee2
および電子のコンプトン波長 λe =
h
mec
との間には

r
e
=
α
2
a
0
=
α
λ
e
2
π
r_{{\text{e}}}=\alpha ^{2}a_{0}={\frac {\alpha \lambda _{{\text{e}}}}{2\pi }}

と言う関係があり、微細構造定数は長さの次元を持つ物理定数の間の係数となる。ここで、h はプランク定数、me は電子の質量である。

微細構造定数に含まれる物理定数において、真空の誘電率 ε0 は真空の透磁率 μ0 = 4π×10−7 H/m を用いて ε0 =
1
μ0c2
と定義され、また真空中の光速は c = 299792458 m/s で定義される。したがって、実験的に微細構造定数を求めるには、
e2
h
の測定が必要となる。微細構造定数の主な測定手法としては、交流ジョセフソン効果や量子ホール効果、ミューオンや電子の異常磁気モーメント、セシウムルビジウムの原子反跳(英語版)を用いる方法がある[10][11][12]。2016年現在における最も精度の高い測定値の1つは、ハーバード大学の研究グループによる電子の異常磁気モーメント ae の測定に基づくものであり、その値は

α
(
a
e
)

1
=
137.035
999
160
(
33
)

[
2.4
×
10

10
]
{\displaystyle \alpha (a_{e})^{-1}=137.035\,999\,160(33)~[2.4\times 10^{-10}]}
で与えられる[13][14]。但し、丸括弧内は標準不確かさ、角括弧内は相対標準不確かさを表す。

微細構造定数の測定法として、二つの超伝導体が薄い絶縁層を介して結合したジョセフソン接合を用いる方法がある[10]。ジョセフソン接合では、二つの超伝導体の巨視的波動関数同士の干渉効果により、超伝導電流が流れる。この電流密度は波動関数の位相 θi (i = 1,2) の差 θ2 − θ1 によって、次の形で与えられる。

J
=
J
c
sin

(
θ
2

θ
1
)
{\displaystyle J=J_{c}\sin {(\theta _{2}-\theta _{1})}}
ここで、微小な一定電圧 V をジョセフソン接合に印加すると、波動関数の位相差は二つの超伝導体の化学ポテンシャルの差を通じて、

θ
2

θ
1
=

2
e
V

t
+
c
o
n
s
t
.
{\displaystyle \theta _{2}-\theta _{1}=-{\frac {2eV}{\hbar }}t+const.}
の形で時間発展する。但し、定数項 const. は初期位相差である。したがって、電流密度は

J
=
J
c
sin

(
ω
J
t
+
c
o
n
s
t
.
)
{\displaystyle J=J_{c}\sin {(\omega _{\mathrm {J} }t+const.)}}
ω
J
=

2
e
V

=

4
π
e
V
h
{\displaystyle \omega _{\mathrm {J} }=-{\frac {2eV}{\hbar }}=-{\frac {4\pi eV}{h}}}
と角周波数 ωJ の交流となる。この現象は交流ジョセフソン効果と呼ばれる。したがって、交流ジョセフソン効果では角周波数 ωJ と電圧 V の測定から
e
h
を高い精度で得ることができる。但し、微細構造定数に含まれる項
e2
h
を定めるには、別の手法での h もしくは e の測定を要するという制約がある。

1980年のクリッツィングらによる量子ホール効果の発見は、微細構造定数の測定精度を飛躍的に向上させた[15]。熱攪乱が無視できる極低温では、2次元電子系に垂直に磁場を印加すると、ホール抵抗 RH の値は

R
H
=
1
n
h
e
2

(
n
=
1
,
2
,

)
{\displaystyle R_{H}={\frac {1}{n}}{\frac {h}{e^{2}}}~(n=1,2,\cdots )}
量子化される。この現象は整数量子ホール効果と呼ばれる。整数量子ホール効果において、RH は試料の大きさや形状に依存せず、その測定精度は電流-電圧測定のみで定まるため、非常に高い精度で
h
e2
を計測することができる。ここで

R
K
=
h
e
2
{\displaystyle R_{K}={\frac {h}{e^{2}}}}
はフォン・クリッツィング定数と呼ばれる。量子ホール効果による測定では、例えば、アメリカ国立標準技術研究所によって、

α
(
Q
H
E
)

1
=
137.036
003
7
(
33
)
[
2.4
×
10

8
]
{\displaystyle \alpha (QHE)^{-1}=137.036\,003\,7(33)\quad [2.4\times 10^{-8}]}
が得られている[12][16]。

フォトンを吸収した原子は原子反跳を起こす。運動量 ħk のフォトンに対し、フォトンの吸収で反跳した原子の原子質量を m とすると、反跳速度は vr =
ħk
m
となる。したがって、反跳速度の測定からプランク定数 h と原子質量 m の比
h
m
を求めることができる。微細構造定数と
h
m
の間には次の関係式が成り立つ。

α
2
=
2
R

c
m
m
e
h
m
{\displaystyle \alpha ^{2}={\frac {2R_{\infty }}{c}}{\frac {m}{m_{\mathrm {e} }}}{\frac {h}{m}}}
ここで、 R∞ はリュードベリ定数、me は電子質量である。リュードベリ定数については 6×10−10 の相対標準不確かさ、原子質量と電子質量の比
m
me
についても 10−10 のオーダーレベルでの相対標準不確かさといった非常に高精度な測定値が得られているため、
h
m
から微細構造定数を求めることができる[11][12]。例えば、カストレル・ブロッセル研究所(英語版)の研究グループによる87Rbの原子反跳測定に基づく結果からは

α
(
87
R
b
)

1
=
137.035
398
996
(
85
)
[
6.2
×
10

10
]
{\displaystyle \alpha ({}^{87}Rb)^{-1}=137.035\,398\,996(85)\quad [6.2\times 10^{-10}]}
が得られている[17][14]。

水素原子の線スペクトルについて、a=b=0 となる。

1
λ
=
ν
c
=
R

(
1
m
2

1
n
2
)
\frac{1}{\lambda} = \frac{\nu}{c} = R_\infty \left( \frac{1}{m^2} - \frac{1}{n^2} \right)

という関係が成り立つ。

整数 m に関して

m=1, n=2, 3, 4,...: ライマン系列(1906年) (121.6nm 遠紫外線領域)
m=2, n=3, 4, 5,...: バルマー系列(1885年) (656.3nm 紫外可視光領域)
m=3, n=4, 5, 6,...: パッシェン系列(1908年) (1875.1nm 赤外線領域)
m=4, n=5, 6, 7,...: ブラケット系列(1922年) (4050.0nm 近赤外線領域)
m=5, n=6, 7, 8,...: プント系列(1924年) (7460.0nm 遠赤外線領域)
m=6, n=7, 8, 9,...: ハンフリーズ系列(1953年) (12370nm 遠赤外線領域)
と呼称される。

原子や分子において、その中の電子の1つを主量子数 n の大きい原子軌道に励起すれば水素型の励起状態となる。この状態をリュードベリ状態といい、その状態にある原子をリュードベリ原子という。

リュードベリ原子において、軌道半径は n2 に比例して非常に大きく、原子・分子で最も簡単な系でありながら、長さ・時間・エネルギーの尺度について基底状態の原子・分子から大きくかけ異なる性質を示す[4]。

ヨハネス・リュードベリ(Johannes Rydberg、愛称はヤンネ Janne、1854年11月8日 - 1919年12月28日)は、スウェーデンの物理学者である。分光学に関するリュードベリの式(英語版)で知られる。

スウェーデンのハルムスタードに生まれた。ルンド大学で数学を学んだ。ルンド大学で数学の講師になったが、1882年に物理学の講師になり、1901年に教授になり、1914年に病気で教授職を継続できなくなった1919年までルンド大学の教授職にあった。シーグバーンは彼の弟子である。1919年にロンドン王立協会の外国人会員に選出されている[1]。

リュードベリの業績は1890年に励起された原子のスペクトルの波長が整数の組み合わせの式で表されることを示したことである。

1
λ
=
R
(
1
n
2

1
m
2
)
{1 \over \lambda} = R \left( {1 \over {n^2}} - {1 \over {m^2}} \right)
ここで係数Rがリュードベリ定数。λは光(線スペクトル)の波長、n,mは適当な整数である。

WIMP〜励起状態が準安定なために、励起状態から低いエネルギー状態へ戻るのが遅れる場合がある

シンチレータ(英: scintillator)は、蛍光(シンチレーション、放射線に励起されることにより発光する特性[1])を示す物質の総称である。発光物質は入射粒子が衝突すると、そのエネルギーを吸収し発光する(すなわち、吸収したエネルギーを光の形で再放出する)。[注釈 1]励起状態が準安定なために、励起状態から低いエネルギー状態へ戻るのが遅れる場合があるが(必要な時間は物質によって、数ナノ秒から数時間と様々である)、このときの過程は、遷移の種類とそれに従う光子の波長によって、遅延蛍光または燐光(蓄光とも呼ばれる)のふたつの現象のうちどちらかひとつに相当する。

XMASS[1](エックスマス)とは、ダークマターの調査を目的として岐阜県飛騨市の旧神岡鉱山跡地の地下に建設された、東京大学宇宙線研究所の素粒子観測施設である[1]。

2014年9月、「XMASS-I」による高感度探索で、ダークマターの有力候補の1つだったSuper-WIMPのうち、電子の10分の1から5分の1(40keVから120keV)の軽い質量範囲のものについて、ダークマターである可能性が排除された[3][4][5]。

天文学においてWIMP (weakly interacting massive particles) は、電磁気的な相互作用をほとんど起こさず、電磁波では検出できない粒子からできている「冷たい暗黒物質」のこと。

コールドダークマター(英: cold dark matter; CDM)とは、運動エネルギーが質量エネルギーに比べて小さく、粒子の運動速度が遅い暗黒物質であり、宇宙の構造形成を説明するために仮説的に導入された物質である。冷たい暗黒物質[1](つめたいあんこくぶっしつ)とも呼ばれる。

コールドダークマターは、Λ-CDMモデルにおいて、宇宙の密度揺らぎを成長させ、宇宙の大規模構造に大きく関与したとされる[2]。SUSY粒子、ヒッグシーノ、アクシオン等の未発見の素粒子が候補として挙げられている[3]。

ヒグシーノは超対称性理論が予測するヒッグス粒子の超対称性パートナーであり、スピン1/2を持つフェルミオンである。 ヒグシーノはディラックフェルミオン型の質量項を持っているが、電弱対称性が破れるとビーノやウィーノと混合し、 ニュートラリーノと呼ばれる中性のマヨラナ粒子電荷を持つチャージーノと呼ばれるディラックフェルミオンを形成する。 超対称性粒子のうち最も質量の小さいものは最軽量超対称性粒子(LSP)と呼ばれるが、 このLSPがニュートラリーノのうちの1つである場合、ダークマターの有力候補となる。

アクシオン(英語: axion)、あるいはアキシオンとは、素粒子物理学において、強い相互作用を記述する量子色力学に関連してその存在が期待されている仮説上の未発見の素粒子である。

 

四フッ化キセノン

キセノン(英: xenon)は原子番号54の元素。元素記号は Xe。希ガス元素の一つ。ラムゼー (W. Ramsay) とトラバース (M. W. Travers) によって1898年に発見された[3]。ギリシャ語で「奇妙な」「なじみにくいもの」を意味する ξένος (xenos) の中性単数形の ξένον (xenon) が語源。英語圏ではゼノン (/ˈzɛnɒn/, /ˈziːnɒn/) と発音されることが多い。

常温常圧では無色無臭の気体。融点-111.9 °C、沸点-108.1 °C。空気中にもごく僅かに(約0.087 ppm)含まれる。固体では安定な面心立方構造をとる。

一般に希ガスは最外殻電子が閉殻構造をとるため、反応性はほとんど見られない。しかし、キセノンの最外殻 (5s25p6) は原子核からの距離が離れているため、他の電子による遮蔽効果によって束縛が弱まっており、比較的イオン化しやすい(イオン化エネルギーが他の希ガス元素に比べて相対的に低い)。このため、反応性の強いフッ素や酸素と反応して、フッ化物や酸化物を形成する。

暗黒物質ダークマター)の直接検出を目論んでいるXMASS検出器では、暗黒物質を検出するために-100 °Cの液体キセノンで満たしたセンサーが用いられる。これは暗黒物質がキセノン原子核と衝突して放つシンチレーション光を光電子増倍管で補捉する仕組みで、東京大学の神岡宇宙素粒子研究施設で2011年春から稼動予定であった[7][8]が、2010年からの試運転の結果、検出器を構成する素材が予想外に多くのバックグランドを含んでいることが判明、そのバックグランドを減らす改修が行われ2013年11月に再運転し[9][10]観測が行われている。

空気中からの単独精製は行われず、液体酸素・液体窒素・液化アルゴンを生産するために断熱膨張(ジュール=トムソン効果)により液化した空気からの分留残(副産物)から回収精製される[11]。

キセノンはフッ素単体の混合比を調節してニッケル管中で加熱し、急冷すると四フッ化キセノン XeF4 あるいは二フッ化キセノン XeF2 を生成し、加圧条件下で同様に加熱すると六フッ化キセノン XeF6 を与える。

いずれのフッ化物も水に容易に加水分解される。XeF6、XeF4 は強力なフッ素化剤である。XeF4 はベンゼンなどの芳香族化合物の水素をフッ素化することができ、XeF6 に至っては石英とさえ反応し SiF4 を与える。また、XeF2 は温和なフッ素化試剤として利用される。

二フッ化キセノン(にフッかキセノン、Xenon difluoride、XeF2)は、キセノン化合物でもっとも安定なものの1つであり、強力なフッ化剤である。大部分の共有結合性無機フッ化物のように水分に敏感である。高密度の白色結晶で、光や水に接すると分解する。不快臭を持つが、蒸気圧は低い (Weeks, 1966)。分子構造は直線形である。 550 cm-1 と 556 cm-1 に特徴的な赤外線吸収のダブレットを示す。市販品が入手可能。

二フッ化キセノンは加圧条件下300℃でキセノンと二フッ化酸素をニッケルチューブ中で化合させることで初めて作られた。現在、二フッ化キセノンはキセノンとフッ素から作ることが可能である。

合成は単純な反応式 Xe + F2 → XeF2 で進行し、反応を進めるには熱、放射線または電気放電を必要とする。生成するのは気体であるが、-30℃で液化させることができる。それは分留、またはバキュームラインによる選択的液化によって精製される。

XeF2 の合成法はアルゴンヌ国立研究所の Weeks、Cherwick、Matheson によって1962年に初めて報告された。彼らはサファイアウインドウとオールニッケルシステムを使った。低圧条件下、紫外線を照射することにより Xe と F2 ガスを等量反応させると XeF2 が得られる。Williamson は、同様に大気圧条件下で乾燥させた球状のパイレックスガラスで太陽光を当てて行ったと報告した。合成は、一様に曇った日に行うよう注意された。

先の合成では、反応に使う F2 は H2 を除く為に精製されたが、Šmalc と Lutar はこのステップを飛ばすと反応速度がもとの4倍になることを発見した。

AsF6 が付随するとき、XeF2 は配位錯体の配位子となることができる。その例の一つにフッ化水素溶液中での反応がある。

Mg
(
AsF
6
)
2

+
4
XeF
2


[
Mg
(
XeF
2
)
4
]
(
AsF
6
)
2
{\displaystyle {\ce {Mg(AsF6)2\ +4XeF2->\ [Mg(XeF2)4](AsF6)2}}}
結晶解析から、マグネシウムには6個のフッ素原子が配位していることが示された。フッ素の4つは4つの XeF2 配位子、他の2つのフッ素は cis AsF6 配位子に由来すると考えられる。単純な反応は、

Mg
(
AsF
6
)
2

+
2
XeF
2


[
Mg
(
XeF
2
)
2
]
(
AsF
6
)
2
{\displaystyle {\ce {Mg(AsF6)2\ +2XeF2->\ [Mg(XeF2)2](AsF6)2}}}
この生成物の結晶構造では、マグネシウムは八面体配位、XeF2 配位子はアキシアル、AsF6 配位子はエカトリアルに位置する。

多くの
[
M
+
(
XeF
2
)
n
]
(
AF
6
)
x
{\displaystyle {\ce {[M^{+}(XeF2)n](AF6)x}}} 形成の反応から M が Ca, Sr, Ba, Pb, Ag, La, Nd、そして、A が As, Sb, P のものが観測された。

XeF2 のフッ素が金属に単独配位した化合物の反応は、

2
Ca
(
AsF
6
)
2

+
9
XeF
2

Ca
2
(
XeF
2
)
9
(
AsF
6
)
4
{\displaystyle {\ce {2Ca(AsF6)2\ +9XeF2->Ca2(XeF2)9(AsF6)4}}}
この反応は大過剰の XeF2 を必要とする。その塩は、Ca イオンの1/2が XeF2 由来のフッ素原子に配位しており、一方別の Ca イオンの配位圏は XeF2 と AsF6 の両方の配位子が支えている構造をしている。

無機の酸化的フッ素化の例

Ph
3
TeF

+
XeF
2

Ph
3
TeF
3

+
Xe

二フッ化キセノンはカルボン酸を対応するフルオロアルカンに変える。このとき酸化的な脱炭酸が起こる。

RCO
2
H

+
XeF
2

RF

+
CO
2

+
Xe

+
HF

LIGA

LIGAとはドイツ語でX線を用いたフォトリソグラフィ(Lithographie)、電解めっき (Galvanoformung)、形成(Abformung)による微細加工を意味する。

1980年代初頭にカールスルーエ核開発研究所(Institut für Kernverfahrenstechnik IKVT)[1][2]のErwin Willy BeckerとWolfgang Ehrfeldのチームによってウラン濃縮のための圧力勾配で噴出すガスの遠心力を用いる流体素子の一種である同位体分離ノズルを製造するために開発された[3][4][5][6]。

LIGAは高縦横比の微細構造物を作成する要求に応える最初の主要な技術の一つである。MEMS素子の製造において重要な役割を担う。高輝度のX線を要するのでシンクロトロン放射光を使用する。

今日では3種類の異なるLIGA技術がある。

X-線 LIGA 最初に開発されたLIGA技術でシンクロトロン放射光を使用。
UV-LIGA 通常は水銀灯からの紫外線を使用する。特殊なSU-8のようなフォトレジストを使用する。
シリコン-LIGA シリコンの加工にDRIEを使用する。
サンディア国立研究所の研究者達は1990年代から2000年代初頭にかけて開発した。

深掘りRIE(ふかほりアールアイイー、Deep RIE)とは、反応性イオンエッチング (RIE) の一つで、アスペクト比の高い(狭く深い)反応性イオンエッチングをいう。アスペクト比が高いことから高アスペクト比エッチングとも言われる。「深堀り」は誤字。「深掘りエッチング」とも呼ばれる。

半導体バイスDRAMなどでは耐圧を上げたり大きなコンデンサを作製する場合に使われる。また、MEMSにおけるバルクマイクロマシニングの主要な作製技術であり、多くのデバイスはこの方法を用いて作製されている。

深く掘る手法は通常高密度プラズマを使い、サンプルを低温に冷やす方法とボッシュプロセスと呼ばれるエッチング技術を用いる方法、その両方を用いるものがある。

高密度プラズマを発生する方法は主に、誘導結合プラズマ (ICP) RIEが用いられる。ECR-RIE (Electron Cyclotron Resonance-RIE) と呼ばれるマイクロ波を用いた方法もあるが、装置が高くなるためICP-RIEが主流となっている。

MEMSではより深いエッチングが要求されるので、ボッシュプロセスと呼ばれるエッチング側面の保護とエッチングを繰り返し行うエッチング方法が用いられる。

ボッシュプロセス (Bosch process) は、ドイツのロバート・ボッシュ社のフランツ・レルマー (Franz Lärmer) とA・シルプ (A. Schilp) によって1992年に開発されたシリコンの深掘りエッチング技術である。エッチングエッチング側壁保護を繰り返しながら行うエッチング手法でアスペクト比の高いエッチングが可能である。カタログに表示されるアスペクト比は50程度であるが、研究段階や特定のパターンに最適化した場合は100程度にすることもできる。

プロセスは以下の2つの処理を繰り返す。場合によってはさらにステップが増えることもある。

エッチングステップ:主に六フッ化硫黄 (SF6) を用いて等方エッチングを行う。エッチング穴底面に保護膜が付いている場合があるので底面の保護膜を除去する働きもある。
保護ステップ:テフロン系のガス(C4F8など)を用いて側壁を保護する。側壁を保護することで横方向のエッチングを抑制する。
保護膜により横方向のエッチングが抑制されるため細く深い(高アスペクト比)穴を掘ることができる。側壁の角度はほぼ垂直にすることができ、また、プロセス条件を変えることで他の角度にもできる。垂直のエッチングができるため、マスクパターン形状を保持した厚い構造が作製できる。

反応性イオンエッチング (Reactive Ion Etching; RIE) はドライエッチングに分類される微細加工技術の一つである。

原理としては、反応室内でエッチングガスに電磁波などを与えプラズマ化し、同時に試料を置く陰極に高周波電圧を印加する。すると試料とプラズマの間に自己バイアス電位が生じ、プラズマ中のイオン種やラジカル種が試料方向に加速されて衝突する。その際、イオンによるスパッタリングと、エッチングガスの化学反応が同時に起こり、微細加工に適した高い精度でのエッチングが行える。

通常のドライエッチングと違い、異方性エッチングも出来ることが特徴である。

磁性体は反応性イオンエッチングの難しい遷移金属元素を主成分としており、さらに多くは多結晶体であるため、化学的組成や結晶構造の違いを問題としない汎用プロセスの開発が難しく実用化への障壁となっていた。一酸化炭素(CO)ガスを用いたプラズマにアンモニア(NH3)ガスを加えたことでCOプラズマで鉄のエッチングを試みると不均化反応によってCOがCとCO2に分かれて鉄と反応することで蒸発しにくい炭化鉄が生成されるが、NH3ガスを加えるとCOのまま鉄と反応するため、蒸発しやすい鉄カルボニルが生成され、エッチングが可能になる[1]。

ドライエッチング(英語:dry etching)は、反応性の気体(エッチングガス)やイオン、ラジカルによって材料をエッチングする方法である。主に化学的な反応によるエッチングを指し、反応による生成物は気体である場合が多い。これに対して液体によるエッチングをウエットエッチングと呼ぶ。イオンミリングなどのようにイオンを衝突させてエッチングする方法など化学的な反応を伴わないものは物理エッチングと呼ぶ場合もある。実際には化学的な反応と物理的なものが同時に起こっている。

反応ガス中に材料を曝す方法(反応性ガスエッチング)とプラズマによりガスをイオン化・ラジカル化してエッチングする反応性イオンエッチング

シリコンをエッチングする場合は、フッ素系のガスを用いる場合が多い。この場合にできる生成物は四フッ化ケイ素 (SiF4) である。

反応性イオンエッチングに使われるもの

六フッ化硫黄 (SF6)
四フッ化炭素 (CF4)
トリフルオロメタン (CHF3)
反応性ガスエッチングに使われるもの

二フッ化キセノン (XeF2)

MEMS(メムス、Micro Electro Mechanical Systems)は、機械要素部品、センサ、アクチュエータ、電子回路を一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に微細加工技術によって集積化したデバイスを指す。プロセス上の制約や材料の違いなどにより、機械構造と電子回路が別なチップになる場合があるが、このようなハイブリッドの場合もMEMSという。

主要部分はLIGAプロセスや半導体集積回路作製技術にて作るが、立体形状や可動構造を形成するための犠牲層エッチングプロセスをも含む。

本来、MEMSはセンサなどの既存のデバイスの代替を主な目的として研究開発が進められていたが、近年はMEMSにしか許されない環境下での実験手段として注目されている。例えば、電子顕微鏡の中は高真空で微小な空間だが、MEMSならばその小ささと機械的性質を利用して電子顕微鏡下での実験を行うことができる。また、DNAや生体試料などのナノ・マイクロメートルの物質を操作・捕獲・分析するツールとしても活躍している。

現在、製品として市販されている物としては、インクジェットプリンタのヘッド、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロスコープ、プロジェクタ・写真焼付機等に利用されるDMD、光造形式3Dプリンターやレーザープロジェクタ等に使用されるガルバノメータなどがあり、徐々に応用範囲は拡大しつつある。

市場規模が拡大して応用分野も多岐にわたるため、期待は大きく、第二のDRAMと言われたこともある。

市販されている代表的なデバイス

プリンタヘッド: 特にインクジェットプリンタ用
圧力センサ
加速度センサ
ジャイロスコープ
光スキャナ (ガルバノメータ)
AFM用カンチレバー
路モジュール
デジタルミラーデバイス(DMD)
HDDのヘッド
DNAチップ
光スイッチ
ボロメータ型赤外線撮像素子
波長可変レーザー (共振器を可変長化する)
光変調器

主に微小な高周波スイッチや共振器を実現する。

機械的な高周波スイッチの場合、半導体の高周波スイッチより動作速度は遅いものの、低損失のスイッチが実現できる。

共振器は小型で高いQ値を持つものが作製可能である。水晶を用いても高いQ値を実現できるが、シリコンで作製できるため集積回路との集積化が容易である。

高周波スイッチ
フィルタ
発振器用振動子:水晶振動子と置き換えて使う

光通信用光スイッチ
光スキャナ
投射型ディスプレイ
電子ペーパ
ヘッドマウントディスプレイ

マイクロバルブ
マイクロ流路

DNA分析チップ
蛋白質分析チップ

血液検査チップ
能動カテーテル
ドラッグデリバリシステム

構造が簡単で小型化に向いている。発生力は他の方法に比べて小さい。MEMSでは最も使われる駆動原理

平行平板型静電アクチュエータ
櫛歯型静電アクチュエータ
クラッチドライブアクチュエータ (Scratch Drive Actuator:SDA)
静電マイクロモータ

能動カテーテル(のうどうカテーテル)とは、マイクロアクチュエータを搭載し、その動作を体外から自在にコントロールできるカテーテルのこと。

内視鏡や心臓内で用いられている一部のカテーテルは、シャフトに内蔵したワイヤーを体外から牽引することで先端部を屈曲制御している。しかし、構造が複雑なため細くすることが難しい。また、ワイヤーの牽引で座屈しないようにシャフトを比較的硬くする必要があり、体内で安全に使える場所が限られる。先端にマイクロアクチュエータを搭載し、能動的に動けるようにすることで、体内の曲がりくねった先でも、その動作を体外から自在にコントロールできるようになる。さらに、マイクロアクチュエータの構成を工夫することで屈曲動作ばかりでなく、ねじれ回転運動や伸縮動作など様々な動きを実現できる。能動機構のためのマイクロアクチュエータとして形状記憶合金やポリマーアクチュエータ、液圧駆動アクチュエータなどが提案されている。また、マイクロアクチュエータを用いていないが、カテーテル先端に小さな磁性体を内蔵し、体外から電磁石を用いて磁気的に牽引するものもある。

 

 

Mg-1.1Al-0.3Ca-0.2Mn-0.3Zn(at.%)(AXMZ1000)

エリクセン社 (Erichsen) 測定機器分野で100年以上の歴史をもつ世界のトップメーカーです。エリクセン製品はテストテクノロジーを駆使し、その正確なデータにより品質管理や材料研究に更なる可能性を提供しています。また、ドイツ国内あるいは国際基準に準じたエリクセン製品は、技術・研究分野に広く使用されています。 A.M.エリクセン氏は張出し試験の重要性に着目し、薄板と細片の品質等級を決定するための試験方法を考案しました。この試験基準(エリクセン値)は国際標準化機構(ISO)の定める国際基準となり、現在すべての工業国で採用されております。また、絶え間ない研究と実験は更なる発明につながり、ドイツのChemico技術研究所で塗装の蜜着性の評価にエリクセン値が適用され、その後、世界中の塗料産業で採用されております。 エリクセン社は様々な塗料用測定機器を開発し、材料試験機・塗料用測定器メーカーのリーデングカンパニーとして、長年の経験と豊富な知識をもとに、様々な産業に製品を供給しています。