数学において、スペクトル理論(スペクトルりろん、英語: spectral theory)とは、正方行列の固有ベクトル、固有値に関する理論の無限次元への拡張を指す。 スペクトル理論の名称は、ダフィット・ヒルベルトが自身のヒルベルト空間論の定式化に際して、“無限個の変数を持つ二次形式”に対応する固有値をスペクトルと呼んだことに由来する。スペクトル定理は、楕円体の主軸に関する定理の無限次元への拡張として考えられた。量子力学において、離散スペクトルの特徴をスペクトル理論を用いて説明できることが思いがけず知られる

スペクトル理論の定式化は主に3つの段階に分けられるが、いずれも重要である。ヒルベルトによる最初の定式化の後、物理学の要請に応える形で、主にフォン・ノイマンが抽象ヒルベルト空間とその上での正規作用素のスペクトル理論を発展させた。また、これに基づくさらに進んだ理論には、抽象的に与えられるバナッハ環の概念などが含まれる。このような理論の発展は、可換バナッハ環に関するゲルファント表現の理論を導き、さらにその非可換版としての非可換調和解析を生んだ。

これらの違いはフーリエ解析とのつながりに見ることができる。実数直線上のフーリエ変換は、ある意味では微分作用素としての微分のスペクトルに関する理論である。しかし、物理現象を説明しようとすると、(ゲルファントの三つ組のような)一般化された固有関数を扱う必要が生じる。一方で群環を構成するのは容易であり、微分のスペクトルがフーリエ変換の基本性質を記述していることが、ポントリャーギン双対によって確認できる。

バナッハ空間上の作用素のスペクトル特性についても研究がなされており、例えばバナッハ空間上のコンパクト作用素は、行列と同様のスペクトル特性を多く有することが知られている。

スペクトル理論には以下の内容が含まれる。

積分方程式・フレドホルム理論・コンパクト作用素
スツルム–リウヴィル理論・水素原子におけるシュレーディンガー方程式の解
スペクトル定理・エルミート作用素・スペクトル分解・汎函数計算
等スペクトル理論・ラックス対
作用素のスペクトル
アティヤ=シンガーの指数定理
スペクトル幾何学
スペクトルグラフ理論

数論における分割数(ぶんかつすう、英: partition function) p(n) は自然数 n の分割(n をその順番の違いを除いて自然数の和として表す方法)の総数を表す数論的函数である。ただし、規約として p(0) = 1 および負の整数に対して p(n) = 0 と定める。

アトル・セルバーク(Atle Selberg, 1917年6月14日 - 2007年8月6日 )はノルウェーの数学者。解析的整数論や保型函数における業績で有名、特にそれらをスペクトル理論によって関連付けた。父や兄のHenrik(1904-1993)、Sigmund(1910-1994)も数学者。

ノルウェーのLangesundに九人兄弟姉妹の末子として生まれる。少年期の逸話として、14歳の時にヨハン・ベルヌーイによる(1697)とされる一公式


を独力で発見したというものがある。すでに大学入学前には、最初の論文を執筆していた。学生の時分よりラマヌジャンの仕事に影響を受け、其論文をヒントに、自身の告白によれば、二十歳の頃ラーデマッハーとは独立に分割数の解析的表現を発見したという。1943年にオスロ大学よりPh.D.を授かる。

大戦時にはドイツ軍のノルウェー侵攻と戦い何度かの投獄を経験し、占領下の孤立した環境で研究を続けていたため、戦後になってようやく彼の仕事が広く知られるようになった。特にゼータ函数の研究が著しくこの頃の結果として、ゼータ函数の零点は少なくともある割合は臨界線 上にあることなどを示していた。1947年の論文で現在セルバーグの篩と呼ばれるものを導入し、それまで余り知られていなかった比較的新しいこの分野を広く宣伝することとなった。1948年にはエルデシュと独立に素数定理の初等的証明を発表した。しかし両者は直前まで共に討論共同研究していたこともあり、後に先取権あるいは貢献度に係る様々な噂が飛び交うこととなった。エルデシュと交流があったピーター・フランクルは著書『数学放浪記』の中でセルバーグが不正を行っていたと断言しているが、あくまでもエルデシュの視点が入っていることに注意が必要である。何れにせよこれらの業績に対し、1950年にフィールズ賞を受けた。

米国に移住後、1950年代にはプリンストン高等研究所に着任し、生涯を此処に勤めた。1950年代にはスペクトル理論の数論への応用に取り組み、特に跡公式を導き、彼の最も有名で後生の研究に影響の大きい仕事となった。これはコンパクトリーマン面のlength spectrumとラプラシアン固有値との間の双対性を確立するもので、素数とゼータの零点との間の双対性と類似した関係となっている。1986のウルフ賞数学部門を受賞した。

セルバーグはフィールズ賞及びウルフ賞の他に多くの殊勲を受け、Norwegian Academy of Sciences、the Royal Danish Academy of Sciences並びにthe American Academy of Arts and Sciencesにも選ばれた。

Ingrid 及び Lars の二子がおり、Ingrid Selberg は劇作家のMustapha Maturaと結婚した。

2007年8月6日、ニュージャージー州プリンストンの自宅で心不全のため90歳で死去した[1]。

分割数の値について、いくつかは オンライン整数列大辞典の数列 A000041 を参照。

p(1) = 1
p(2) = 2
p(3) = 3
p(4) = 5
p(5) = 7
p(6) = 11
p(7) = 15
p(8) = 22
p(9) = 30
p(10) = 42
p(100) = 190,569,292
p(200) = 3,972,999,029,388
p(1000) = 24,061,467,864,032,622,473,692,149,727,991 ≈ 2.4×1031.
2011年現在、知られている中でこの形で得られる最大の素数は、Bernardo Boncompagni が発見した[1] p(40100918) で、これは十進で 7047 桁の数値である。

分割函数をより扱いやすくする方法のひとつは、補助的な函数 p(k, n) を考えることである。これは少なくとも k 以上の自然数を用いて n を分割する方法の数を数えたもので、各 k に対して分割数を数えれば、次のいずれかの場合を見ればいいことになる。

最小の成分がちょうど k である。
最小の成分が k より真に大きい。
前者に当たる分割の総数は p(k, n − k) である。これをみるには、整数 n − k を少なくとも k よりもサイズの大きい整数への分割を全て一覧したものを考えて、その一覧の各分割に "+ k" することを考えればよい。

このことは、補助的な函数を使って分割数のある種の漸化式を定義することに利用できる。つまり


が成立する。ここで、 は床函数である。

後者に当たる分割の総数は p(k +1, n) である。これは各成分が k 以上の分割から、ちょうど kになる成分を含むようなものを除いた結果は、すべての成分が k + 1 以上になっていなければならないことからわかる。

さて、上記の二条件は互いに排他的であるから、n の分割の総数というのは、それぞれの場合をあわせた p(k + 1, n) + p(k, n − k) となっていることがわかる。したがって、再帰的に、補助的な函数

k > n のとき: p(k, n) = 0
k = n のとき: p(k, n) = 1
それ以外: p(k, n) = p(k+1, n) + p(k, n − k)
と定める。この函数は少し複雑な挙動を見せる傾向にある。

 

 

 

もともとの分割数 p(n) はちょうど p(1, n) にあたる。

いくつかの値については以下のとおり。

 
k
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
n
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
2
1
0
0
0
0
0
0
0
0
3
3
1
1
0
0
0
0
0
0
0
4
5
2
1
1
0
0
0
0
0
0
5
7
2
1
1
1
0
0
0
0
0
6
11
4
2
1
1
1
0
0
0
0
7
15
4
2
1
1
1
1
0
0
0
8
22
7
3
2
1
1
1
1
0
0
9
30
8
4
2
1
1
1
1
1
0
10
42
12
5
3
2
1
1
1
1
1
 

分割数 p(n) の母函数は、次の式で与えられる。


右辺の各項を幾何級数として展開すれば、これは


と書くことができるが、ここから積をとって xnの項となるものを拾い出せば


を得る。ここで各数 i は ai 個ずつ現れる。これはまさに n の分割の定義そのものであるから、この無限積が求める母函数を与えることが確認できる。もっと一般に、整数 n の適当な集合 Aに属する整数への分割数の母函数も、上記の式の項の k を A の元となっているものにとることで得られる。この結果はオイラーによる。

オイラーによるこのような分割数の母函数の定式化は q-ポッホハマー記号の特別な場合であり、また多くのモジュラー形式の積の定式化(特にデテキント・イータ函数の)と近い関係にある。また、この母函数表示をオイラーの五角数定理と合わせれば、次のような漸化式


を得る。ここで p(0) = 1 および負の整数 k に対して p(k) = 0 とし、和は ½n(3n − 1) の形(ただし n は正または負の整数全体を走る)の一般五角数全体にわたってとるものとする(順に n = 1, −1, 2, −2, 3, −3, 4, −4 ..., とすると、値として 1, 2, 5, 7, 12, 15, 22, 26, 35, 40, 51, ... が得られる)。和における符号は交互に +, +, −, −, +, +, ... と続く。

ラマヌジャンは 4 または 9 で終わる整数に対する分割数に関して合同式


が成立することを発見したといわれる。例えば、整数 4 の分割数は 5 であり、整数 9 の分割数は 30、整数 14 の分割数は 135 といった具合である。ラマヌジャンはまた 7 および 11 に関する合同式


も発見している。さて、5, 7, 11 は連続する素数になっているので、次の素数 13 に対する同様の合同式 p(13k + a) ≡ 0 (mod 13) が適当な aのもと成立しそうなものだが、実際にはそうはなっていない。さらにいえば、p(bk + a) ≡ 0 (mod b) の形の合同式は 5, 7, 11 以外のどの素数 b に対しても成立しないことが示せる[2]。

1960年代にイリノイ大学シカゴ校のアトキンは、同様のいくつかの小さな素数を法とする合同式を発見している。例えば


のようなものが含まれる。2000年には、ウィスコンシン大学マディソン校の小野(Ken Ono)は任意の素数を法とする同様の合同式の存在を示した。さらに数年後、小野はイリノイ大学のスコット・アールグレンとともに、6 と互いに素なすべての整数を法とする分割数の合同式が存在することを証明している[3]。

A.ブライチャー:「ラマヌジャンの予言」、日経サイエンス、2014年9月号、頁67-72.
Amanda Folsom, Zachary A. Kent and Ken Ono:"l-Adic Properties of the Partition Function", Advances in Mathematics, v.229, No.3, pp.1586-1609 (Feb. 15, 2012).
Ken Ono and Larry Rolen:"Ramanujan's Mock Theta Functions", Proc. National Academy of Sci. USA, v.110, No.15, pp.5765-5768(Apr. 9, 2013). url="www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3625272".

分割数 p(n) の漸近表示は、


で与えられる。この漸近公式は、ハーディとラマヌジャンによって1918年に初めて見出され、また、それとは独立にウスペンスキー1920年に発見している。例えば p(1000) を考えると、漸近公式からだいたい 2.4402 × 1031 となることがわかるが、これは真の値とくらべても十分近い値である(真の値よりは 1.415% ほど大きい)。

1937年にラーデマッハーはハーディとラマヌジャンの結果に基づいて次の発散級数表示


を得ている。ただし


とおいた。この式の微分の箇所はもう少し簡単な形に直せる[4]。ここで、記号 (m, n) = 1 は mの値として n と互いに素であるものだけを考えることを意味する。また函数 s(m, k) はデデキント和である。ラーデマッハーの公式の証明はフォード円、ファレイ数列、モジュラー対称性およびデデキント・イータ函数などを主に使ってなされる。

2011年1月、小野とダルムシュタット工科大学のジャン・ヘンドリック・ブルーニエは、任意の自然数 n に対する p(n) を決定する有限で代数的な公式を得たと発表した[5][6]。

分割数は n の「五角数分割」上の和として表すことができる。


を n の五角数分割とする。ここに各 qm = m(3m− 1)/2 は一般五角数(GPN, 数列 A001318)で qM は n を超えない最大の GPN である。故に[7]


を得る。ここで


および


は多項係数である。p(n) に対する和の項の数は数列 A095699 で与えられる。例えば 8 = 7+1 = 5+2+1 = 5+1+1+1 = 2+2+2+2 = ... だから


となる。

自然数 n に対して p(n) は次の式で求められる。


つまり、p(n) は上記無限次元テープリッツ行列を n × n で止めた正方行列の行列式である。この行列の零でない成分は、一般五角数 qm 番目の行の先頭から斜め (diagonal) に配置され(主対角線のひとつ上側の成分 (superdiagonel) は仮想的に 0 番目の行からと考える)、その値が (−1)m+1 となっている。この行列式公式は、次の行列の間の関係式


に同値なのだが、この関係式自体は単に上述の母函数の間の関係式(と五角数定理)を行列の形にまとめたものである。

ラマヌジャンの公式[8]


を使えば、分割数 p(5k − 1) はより小さな k-次行列の行列式


として表すことができる。第一列の成分のなす数列は A000729 であり、最終列の(最初の 1 から)五つ毎に現れる非零成分のなす数列 (1, −5, 5, 10, −15, −6, …) は、数列 A000728 になっている(最終列はそれ以外の成分は全て零である)。例えば


同様のやり方で、残り二つのラマヌジャンの公式を使えば、分割数 p(7k − 2) および p(25k − 1) も k-次の行列式


と表すことができる。これらの行列の最初の列はそれぞれ A000731 および A010836 であり、最終列は次の展開


から得られる。例えば p(149) は


で計算できる。また、分割数の第 n-部分和は行列式


で与えられる。ただし、c0 = −1, c1 = 2, c2 = 0 かつ k > 2 に対しては


とする。相異なる整数成分への分割の分割数を q(n) と書けば(これは分割の項に述べるように奇数成分への分割の分割数とも等しく)、


が成り立つ。第一列は数列 A010815 で、最終列は 2qm + 1 行目の成分が (−1)m でそれ以外の成分は零である。

 

実装や高速化

大量のデータを扱う際などに用いられる線形代数を,抽象的な高次元空間を直観的にイメージするのに役立つだけでなく,どのような目的のためにはどのような処理を行えばよいかという指針ともなる,“幾何学的な解釈”も含めて解説していく。
すべての根幹として射影という概念を最初にとりあげ,また特異値分解の計算を行列式逆行列固有値の計算と同等の「行列の基本演算」とみなし,議論を進めていく。

言語において意味を成す最小の要素である「形態素」の解析方法について,技術者向けにその理論や実装方法を網羅的,体系的に解説する。
実装や高速化なども扱う点がユニークであるが、辞書やコーパスなどの言語資源の構築・利用といった形態素解析では外せないテーマもきちんと解説している。

ブラウン運動のような偶然現象はいかにして定式化されるか。広い応用範囲をもつ確率微分方程式の理論を解説。

自然界や社会における偶然性を伴う現象は、いかにして定式化されるのか。確率過程をめぐる研究は20世紀前半にウィーナーやレヴィ、そしてコルモゴロフらによって進められ、なかでも伊藤清が確立した確率解析のための基本的手法は、「伊藤積分」の名で広く知られている。本書はそうした伊藤の定式化によりつつ、マルチンゲール的手法に重点を置いた確率積分を展開。物理学・数理ファイナンスなど幅広い応用をもつ理論の基礎をあざやかに示した。

 

愛ちゃんと尚輝くんの大事なお金

草憲と魁身を連れてカラオケに行ってフードを頼んで3756円使ってしまった。もうそうゆうことせんでよ。来月大変になるんだから。お会計のディスプレーに表示された20%引きされる前の「4695円」にちょっとぞっとした。高いじゃんて。で3756円でちょっとほっとした。でも怒られるんだろうな。愛ちゃんがいないからってお金を使っちゃったんだ。交叉したアレクサンダーとディオゲネス。In the middle of the space.

交叉した宇宙

40億年後

天の河はアンドロメダと衝突する

生きていたい

40億年後もなお

人生の半分が終わったなんて考えたくもない

だけど短かった気がする

ムダなことしてる時間なんてホントないんだよ

だから旅に出るんだ

この世界を駆け巡ろう

美しく

18の頃思い描いた夢は

甘えの中葛藤する大金持ちの散財

半分は大人になることを選んだ

半分は恋に身を投げた

半分は大人だから叶わない

それから子供を愛した

キャンパスの通路で僕らはすれ違う

それは交叉した宇宙

そうだろ?

交叉したアレクサンダーとディオゲネス

僕らは交叉した宇宙

数学において、集合族の共通部分(きょうつうぶぶん、英: intersection)とは、与えられた集合の集まり(族)全てに共通に含まれる元を全て含み、それ以外の元は含まない集合のことである。共通集合(きょうつうしゅうごう)、交叉(こうさ、交差)、交わり(まじわり、meet)、積集合(せきしゅうごう)、積(せき)[1]、などとも呼ばれる。ただし、積集合は直積集合の意味で用いられることが多い。

集合 A, B の交わりは A ∩ B と記される。これは


ということであり、記号では


と書ける。A ∩ B に含まれるような元が存在するとき A と B とは互いに交わるあるいは交わりを持つといい、そのような元の存在しないとき A と B は互いに素であるまたは交わりを持たない (disjoint) という。

有限個の集合 M1, … Mk の交わり


は、そのすべてに共通に含まれる元の全体である。集合の交わりは結合的、つまり


を満たすから、(一般結合法則)により有限個の集合の交わりは


に等しく、また括弧の付け方に依らない。


とも表す。

集合の(空でない)族


に対して、その交わりを集合族に属する全ての集合に属する元、つまり


となる x の全体であると定義して


などで表す。特に集合列 {Mn}n∈N の交じわり(可算交叉)の場合には


のようにも書く。

与えられた集合族の共通部分が空集合となるとき、つまり全ての集合に共通に含まれる元が一つも存在しないとき、その集合族は交わりを持たない (disjoint) という。また、どの二つの集合を取っても交わらないとき、その集合族は対ごとに交わりを持たない (pairwise disjoint) と言う。disjoint ではないが pairwise disjoint な集合族が存在する。

P = {1, 3, 5, 7, 9} (10 以下の奇数の集合)、Q= {2, 3, 5, 7} (10 以下の素数の集合)とすると、P ∩ Q = {3, 5, 7} である。また、R = {2, 4, 6, 8, 10} (10 以下の偶数の集合)とすると Pと R には共通の要素が存在しないから P ∩ R は空集合である。

実数からなる開区間の族 M = {(0, 1 + 1/n) | n は 1 以上の自然数} の共通部分は半開区間 (0, 1] である:


実際、(0, 1] はどの区間にも含まれるので共通部分に含まれることは直ちに言える。一方、1 < x とするならば x = 1 + ε となる正の実数 ε が取れるが、1 / ε < n なる自然数は必ず存在して、xはそのような n に対する (0, 1 + 1 / n) に属さない。したがって上記の等式が成立する。また、同様の区間族 L = {(0, 1 − 1/n) | n は 1 以上の自然数} は n = 1 に対応する区間空集合であるので共通部分 ∩ L も空集合、つまり L は交わりを持たない。

上記、任意個数の集合の交叉の定義において、族が空集合 (∅) となる場合を排除したことに注意しなければならない。これは集合族 M の交わりを


で定義するために、M が空ならば A ∈ M なる集合は存在しないから「x が満たすべき条件は一体何であるか」という問題を生じるからである。M が空なるときの上記条件は空虚な真(英語版)の一例であるから、答えは「可能な限りの全ての x」となるべきである。すなわち、空な集合族の交わりは普遍集合(交叉演算の単位元)と定義することになる[2]。

困ったことに標準的な集合論 (ZFC(英語版)) には普遍集合は存在しないから、これを部分的に回避するために宇宙と呼ばれる一つの大きな集合 U を固定してその部分集合となる集合のみを考えることがよく行われる。このような条件下での U の部分集合族の交わりは


と定義されるべきものであって、ここで M を空にとっても何も問題は生じない。即ち、空な交叉は定義により well-defined であって宇宙全体 U に一致する。そしてそれは U の部分集合全体の上で定義される交叉演算の単位元である。

^ 集合の代数学あるいは集合族のブール代数において、この場合、和に相当するのは集合論的差または対称差である(集合環なども参照)。集合論的和は結びと呼ばれ、補集合を取る操作に通じて積と同等の役割を果たす。

超ひも理論等の研究を行なう。宇宙初期の密度揺らぎによる、宇宙マイクロ波背景輻射の揺らぎの性質を、Wayne Huとの数々の共著論文などにおいて、相対論的に定式化して計算する方法を開発した。この方法はその後のCOBE、WMAPの観測結果との比較から、宇宙年齢やダークマターの存在量、ダークエネルギーの存在を明らかにする端緒となる先駆的な研究である。

カブリ理論物理学研究所(カブリりろんぶつりがくけんきゅうじょ、Kavli Institute for Theoretical Physics、KITP)とは、アメリカ合衆国のカリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB) が擁する、世界で最も権威ある理論物理学研究所の一つである。

1979年設置。2001年よりそれまでのUCSB理論物理学研究所 (ITP) から現行名となる。超ひも理論等の研究を行なう。研究所に多額の寄付を行ったフレッド・カブリに因む。

カブリ数物連携宇宙研究機構(カブリすうぶつれんけいうちゅうけんきゅうきこう、英称: Kavli Institute for the Physics and Mathematics of the Universe、略称: Kavli IPMU)は、数学と物理学の連携により宇宙の最も根源たる謎(暗黒物質など)の解明に挑む、東京大学総長室直属の国際高等研究所であり、研究機関。

2007年10月1日に文部科学省の世界トップレベル国際研究拠点として発足した。発足から10年間は、国から年間5億〜20億円の支援を受けることになっている。

2012年2月8日、カブリ財団より、750万ドルの寄付を受けることを発表する。これにより、4月からカブリIPMUに改称することも、併せて発表した[1]。

10年間。助成開始5年後の中間報告により、計画の変更、中止などの見直しが行われる。特に優れた成果を上げた場合は、5年間の延長が認められる。

相原博昭(東京大学
Alexey Bondal(ロシア科学アカデミー
堀健太朗(東京大学
井上邦雄(東北大学
梶田隆章東京大学
Mikhail Kapranov(東京大学
Stavros Katsanevas(パリ第7大学)
川崎雅裕(東京大学
Young-Kee Kim(シカゴ大学
小林俊行(東京大学
河野俊丈(東京大学
小松英一郎(マックス・プランク研究所)
Kai Uwe Martens(東京大学
松本重貴(東京大学
森山茂栄(東京大学
村山斉(カリフォルニア大学バークレー校)
中畑雅行(東京大学
野尻美保子(高エネルギー加速器研究機構
野村泰紀(カリフォルニア大学バークレー校)
大栗博司(カリフォルニア工科大学
David Spergel(プリンストン大学
杉山直(名古屋大学
高田昌広(東京大学
高橋 忠幸(東京大学
戸田幸伸(東京大学
Mark Robert Vagins(東京大学
吉田直紀(東京大学

宇宙初期の密度揺らぎによる、宇宙マイクロ波背景輻射の揺らぎの性質を、Wayne Huとの数々の共著論文などにおいて、相対論的に定式化して計算する方法を開発した。この方法はその後のCOBE、WMAPの観測結果との比較から、宇宙年齢やダークマターの存在量、ダークエネルギーの存在を明らかにする端緒となる先駆的な研究である。

数学に分け入っていくほどに圏論での重要な概念である普遍性に出会うことになる。

重要なことは、例を通じてすでに知っている数学と新しい概念を関連づけることである。東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構。相対論的熱力学を宇宙背景輻射とブラックホールに適用した。

数学の一分野である圏論において、モナド(英語: monad)あるいはトリプル(英語: triple)とは(自己)関手と2つの自然変換の三つ組である。モナドは随伴関手の理論で使われ、半順序集合上の閉包作用素を任意の圏の上へ一般化する。モナドという名前は、対応する圏を一般化するというモナドの動作に注目して、ソーンダース・マックレーンが哲学用語である「モナド」を借用した。[1]

と が、 が の 左随伴であるような2つの随伴関手であるとき、合成 はモナドである。これよりモナドは自己関手となる。もし と が互いに逆関手であるとき、対応するモナドは恒等関手となる。一般には随伴関手は圏同値(equivalence_of_categories)を与えない。すなわち随伴関手は異なる性質を持つ圏どうしを関連づけている。

モナドの公理は次のシンプルな例によって見出せる。 を群の圏 Grp から集合の圏 Set への忘却関手とする。すると として自由群関手を取ることができる。

これはモナド


は集合 を受け取り自由群 の台集合を返す関手であることを意味する。この状況の下で、次の2つの自然な射が与えられる。


この射は から への自然な包含写像である。すなわち、 の元を長さ1の文字列と見做して に写す。


この射は「文字列の文字列」を連結(en:concatenation)(平坦化とも言う)する。これらはそれぞれ次の自然変換を定める。



2つ目は結合法則をみたす積であり、1つ目がその積についての単位元であることが随伴関手の性質から分かる。

これらの結合法則単位元の公理はモノイドの公理にフォーマルな類似性が見られる。これらは圏上の一般の(随伴関手から構成しない)モナドの定義を与える。

半順序集合 から生成される圏(対象が の元であり、 が成り立つとき から へ射が1つ与えられる)を特別に考えると、随伴の対は Galois 接続(en:Galois connection)、モナドは閉包作用素(en:closure operator)という単純な対応が取れる。

すべてのモナドはある随伴関手から構成でき、さらにこのような随伴関手はたくさん存在する。クライスリ圏と Eilenberg-Moore 代数の圏(共に下で導入する)は、与えられたモナドを生み出す随伴関手を構成する問題の外的な解である。

上で与えた自由群の例は、普遍代数(en:universall algebra) における代数の variety (en:veriety_of_algebras) の意味で、代数の任意のタイプ(en:signature_(logic))に一般化される。よって、代数の任意のタイプは集合の圏上のモナドに持ち上げられる。代数のタイプはモナドから復元され(Eilenberg-Moore 代数の圏として)、よってモナドは普遍代数の一般化として見られることが重要な点である。さらに一般的に、任意の随伴関手はそれに対応するモナドの Eilenberg-Moore 圏に同値であるとき、モナディック(英語: monadic)であると言う。したがって、モナド性の基準を与えるベックのモナド性定理(en:Beck's_monadicity_theorem)は任意の随伴関手は代数の圏としてこの方法で扱えることを示すために使われる。

モナドの概念は en:Roger_Godement により1958年に "standard construction" という名で提案された。1969年代から1970年代の間は多くの人々は「トリプル」という名前を使っていた。今の標準的な用語「モナド」はマックレーンによる。

が圏のとき、 上のモナドは関手 と2つの自然変換 ( は 上の恒等関手) と ( は関手 ) から成り、これらは以下の条件をみたす(en:coherence_conditions と呼ばれることもある):

(自然変換 として)
(自然 として。ここで は 上の恒等変換である)
これらの条件は以下の可換図式によって書き直すことができる:


            

や という表記を展開し以下の可換図式で表すと以下のようになる:


            

1番目の公理はモノイドの結合法則、2番目の公理は単位元の存在の類似物である。実は 上のモナドは圏 のモノイド対象(en:monoid_(category_theory))として定義することもできる。 は対象を の自己関手、射をそれらの間の自然変換として持つ圏であり、これは自己関手の合成からモノイダル圏の構造が誘導される。