フラックス

電解液 (でんかいえき、Electrolyte Solution) とはイオン性物質を水などの極性溶媒に溶解させて作った、電気伝導性を有する溶液をさす。電解質溶液ともいい、英語ではIonic solutionということもあることから、イオン溶液とも呼ばれることもある。狭義には、電池や電気メッキ槽にいれる電解質水溶液を指す。

一方、溶媒を含まず、イオンのみからなる液体のことはイオン液体もしくは溶融塩と呼び、区別される。

イオン性物質を極性溶媒に溶解させると、陽(プラス)イオンと陰(マイナス)イオンに解離する。これら正負のイオンが電荷の運び手(キャリア)となって移動することで導電性が発現する。電解液に電極を入れると、陽(プラス)イオンは陰(マイナス)極に移動し、陰(マイナス)イオンは陽(プラス)極に移動する。この性質を利用したのが、電気メッキである。

溶融塩(ようゆうえん、英: molten salt)とは、食塩などの陽イオンと陰イオンからなる塩で溶融状態にあるものをいう。文部省学術用語集化学編では融解塩[ゆうかいえん、英: fused salt]を溶融塩と同意とする。原子力分野では「溶」を「熔」の字に置き換えた「熔融塩」を用いる場合もある。また、金属製錬分野では伝統的にフラックスと呼ぶ。溶融塩の中で100-150°C以下の温度で液体状態にあるものは常温溶融塩またはイオン液体と呼ぶ。

溶融塩中のイオンは、水溶液中のイオンとは異なりイオンの周りに中性の水分子が配位しないため、陽イオンと陰イオン間の距離が近く、イオン間のクーロン力が強い。このため、水溶液中のイオンとは異なる性質を示すことが多い[1]。これにより次のような特徴が生じる。

イオン導電率が高い
電位窓が広い
密度、粘性率、表面張力が水に近い
高温で低蒸気圧
他の塩類の溶解度が大、塩類の組み合わせで溶融温度や溶媒特性の調節可能
有機溶媒と混和しない
化学的に安定、不燃または難燃性大
放射線耐性
固体から液体への融解熱が大

イオン化エネルギーの小さいアルカリ金属アルカリ土類金属と電子親和力の大きいハロゲンで構成される塩で、高温で融解すると陽イオンと陰イオンに解離する。イオン性の強い塩を溶解しやすいため、工業プロセスに広く利用されている。この場合、溶融温度の低減化によるエネルギー消費削減や原料物質の溶解度を上げる等のため数種類の塩を混合した複合塩を用いる事がある。

この系の例としてCaCl2、NaCl-CaCl2、NaF-AlF3、LiF-BeF2等がある。