ある状況では最適だった窓関数が、別の状況ではそうではないということも起こる。(畳み込みのフーリエ変換はフーリエ変換の積)

窓関数を使って求めたスペクトル と、本来のスペクトル は、もちろん同じではない。 積のフーリエ変換フーリエ変換の畳み込み、つまり、


である。 余分な が畳み込まれることによって、フーリエ変換の結果は変化するが、この変化は望ましいものではない。

一般に は、中心が絶対値が大きく、両側に離れるにつれ小さくなるが、0になることはない( が有限区間外で0ならば、常にそうなる)。 ただし、単峰性ではなく、図のように、無数の峰を持つ。 各々の峰をローブといい、中央のいちばん大きいローブをメインローブ、他をサイドローブという。このような が畳み込まれることにより、スペクトルは、ピークがなまり(周波数分解能が下がり)、ノイズ・フロアが上がる(ダイナミック・レンジが狭まる)ことになる。

窓関数には、

メインローブが狭い(周波数分解能が良い)
サイドローブが低い(ダイナミックレンジが広い)
という2つの特長が要求される。 しかし、この2つはトレード・オフの関係にあり、両立させるには限界がある。 そのため、ある状況では最適だった窓関数が、別の状況ではそうではないということも起こる。

フーリエ変換に限らず、DCT(離散コサイン変換)や連続ウェーブレット変換でも、窓関数を使う。

とりわけ、近年、音声圧縮などに使われるMDCT(修正離散コサイン変換)のための窓関数は、プリンセン‐ブラッドリー条件 (Princen-Bradley condition) という、他の用途では要求されない性質が必要なこともあり、独特なものが新しく登場している。 なお、プリンセン‐ブラッドリー条件を満たす窓関数を、MDCT窓、プリンセン‐ブラッドリー窓などという。

変わった応用では、窓関数を掛けるのではなく、畳み込むという手法がある。 (畳み込みのフーリエ変換フーリエ変換の積)なので、窓関数がデジタル・フィルタとして働くことになる。

窓関数はデジタルフィルタのデザインにも用いられる。Sinc関数によって、理想的的な無限系列中のIIR(無限インパルス応答)のフィルター処理を有限系列中のFIR(有限インパルス応答)フィルター・デザインによる処理に変換する場合などがこれに該当する。これを "window method" と呼ぶ。[2][3]

ガウシアン窓 (Gaussian window) とも。

hann window(hannは人名由来だが、慣習的に小文字で書く)。フォンハン窓 (von Hann window)、2乗余弦窓、raised cosine windowとも。ユリウス・フォン・ハン(英語版)が考案した。ハン窓及び後述のハミング窓は、後の研究で後述する一つの関数族「一般化ハミング窓("raised cosine" または "generalized Hamming" 窓)」に分類されたため、ハン(Han)とハミング(Hamming)両名の名前から合成された「ハニング窓(hanning window)」という呼び方でハン窓を指す場合もある。

最もよく使われる窓関数の一つ。