ソフトマター

みなさんは牛乳に酢を混ぜるとゲルになるということをご存じでしょうか。これはややマイナスに帯電した、つまりはアルカリ性の牛乳コロイドのOH^ーの部分に、酢の酸性H^+の水溶液が結合することによってH2Oが分離し、脱水縮合して架橋されることによって牛乳が鎖になり、カゼインプラスチックという状態になるからです。このカゼインプラスチックはボタンや徽章などに象牙のような模様をつけるのに使われており、身近なポリマー素材となっております。反対にゲル化したカゼインプラスチックに電流を流すとポリマーが電子e^ーを受け取り、再びゾルとなって普通の牛乳に戻ります。我々が普段使っている液晶のディスプレーもこのような仕組みになっており、電気を流すことによって液体から結晶または結晶から液体になり、光の屈折率を変えることができます。電気を流すだけでなく、例えばレジストという高分子は光を当てることによって性質を変え、このような素材は「感光材」と言われ、集積回路は感光材にパシャッと光を当てて作られています。我々が使っているケータイのアセンブリはこうやって出来上がっていきます。