マイナンバーカード健康保険証で医療情報を共有して、はたしてその情報を自分自身で知ることができるのだろうか?

マイナンバーカードに健康保険証の機能を付け加える取り組みが政府によりなされている。過去の診断結果や、病歴、そして家族の病歴などを知ることによって、ほぼほぼ正しい診断ができるようになるのだという。これに過去の健康診断、社会的背景が加われば尚更だ。だが、医療機関が情報を共有することにも多くの課題があるし、電子カルテであるとか、取り組みの幅によって医療機関の格差が拡がってしまうとか。このような政府の取り組みを、日本医師会をはじめとした医師会がバックアップするのだという。

マイナンバーカード健康保険証で医療情報を共有して、はたしてその情報を自分自身で知ることができるのだろうか?医師が患者のマイナンバーカードを読み取ることによって知れる情報は、患者個人のものであるし、そもそも自分の病歴を、マイナンバーカードを持っている本人自身が検索することは可能なのであろうか。マイナンバーカードを持っている患者にとっては、それはもちろん『自分の情報』である。自分の情報を知れるのか?もちろん共有する情報の中には、警察の犯人に関する情報など、本人に知られたくないものは、政府や自治体としてはたくさんもっている。

それに、今後医療が発展して、仮にも、いままでの診断結果は全部、科学が発展するまえの誤ったものであった、となることもあろう。こともなげに、いまの社会は、現時点での最高の結果を表示しているにすぎない。もちろん、自分が知らない情報をすべて兼ね備えた『あなたはこの情報をすべて勘案した結果、5ヶ月後に死にます』などという、たとえそれが正確であったとしても、そのような最先端の科学の情報など知りたくもない場合もあるだろう。むしろ知らないでいることが健康を維持している場合だってある。そのような科学的に正確な情報のコングロマリットが、かならずしも『今の私』を幸せにするとはかぎらない。

ただその情報を勘案して、自分自身にとってもっとも最良である医療を選択、あるいは探求していくきっかけにはなるだろう。つまりは個人にあった医療を個人あるいは身近な医療への接し方から選んでいく選択肢の幅は広がるはずだ。