「世界とやった男」倒れて天を仰いで。それが明日のことなんて考えられるか。毎日世界は変わるけど、なんて。毎日これを繰り返すのか?なんて。目が覚めたら、まだ生きていた、ってことだし、娘を守った、って記憶があるだけで。好きな女がどこにいった?なんて記憶はないはずだ。それが娘か、好きな女か、娘の友達の好きな人と仲良くしようなんて。娘の友達の好きな人はおれの子供だろう?生きていて死体が熊やカラスに食われていたら。俺は熊やカラスを守ったってことだろう?栗も木も。こうやって星を乗り継いでいけたらなあ。あれ?そういう約束だったっけ。「目を覚ますと僕はここにいた。もうカプセルじゃない。ムチでもない。クイでもない。だけどもうカプセルをチェーンで繋いで。もうムチもクイも始まってるんだ。後戻りはできない。僕の言葉に味はないけど。君の絵には正直な味がある。大地を経ないで踏んだ顔に。君の絵には正直な味がある。」死んだ死体が彷徨う宇宙に意識だけが彷徨う。いつまでも眠れないままで。その長さが前を向いて生きてきた時間と、ほんとうに自分がいた世界の大きさの違いを思い知らせるんだ。雨打つ水溜りと、雪の結漿を。森も木も全ておれのものだ。そう思って寝た。