我慢してるイオン交換膜

我慢してるイオン交換膜。空気も吸えない。偏りを担って。「楽しく」ない。そんなことをこの素材は考えていやしまいか。濃縮された機能不全の中。捨てられる。体中で担った不均衡は。ほんとうは息を止めていたの。私もあの娘も。スパナを回す手でさえも。私も同じように。空虚を彷徨ってた。愛されて。愛されてないもん同士の付き合いだった。ほんとうの私たちのことなんてわかるはずもない。ただ目まぐるしく回る必要とされてるこの世界で。愛があるかどうかなんて関係なかった。腹減って食えばなんでもうまいかのように。私たちは息ができない。そんな中で微かな愛を。ときどき夢中になってくれたこと。誰かに咎められた。そんな言い訳だったとしても。そんな中にいたとしても。自分を忘れた。愛し合ってた。マイナスの中で。わかってくれれば素材も。縁もゆかりも私の一部。そうでしょ?誰かが愛して力のない私にも話しかけてくれたから。ほんとなら「命」のないもの。誰がそれをわかる?きっと分別のある誰かが。「命」のないものなんてないんだと。私は息ができない。それがこんなふうに話しかけてくれている。酷い捨てられ方をする機械。内臓を売られて魚に集られる海のように。ああ。生きてる。そうじゃなきゃこんな命を引き裂かれやしないよ。ものは「思って」ない。それを「思わ」せてる。フロー。そんな全体の全部の化学を。それは「私」にしかできない。みんなの違う化学を一斉に覗き込んで。今日も蠢いているこの世界を。愛せないものを愛すことで。私はまた輪を広げた。そして眠るとき歩みを。幸福こそが歩みだと。決して楽なものではない。そんな君に半端な言葉を受け持つこと。息もできないけど幸せですと。