奈良県ため池条例事件

奈良県ため池条例事件(ならけんためいけじょうれいじけん)は、

以前からため池を使用していた農民が、

条例でため池の使用を禁止された

以降も使用し続けたために

条例により罰金刑

を受けた事件。

条例による財産権の制限の是非

を争った。

奈良県磯城郡田原本町唐古に所在する

当該ため池は、Yらを含む近隣の農民の共有ないし総有に属していたが、

奈良県は1954年に「ため池の保全に関する条例」を制定し、ため池の堤塘耕作を禁止した。

しかし、Yらは、他の農民が条例に従い任意に耕作を中止するなかで、

依然として耕作を続けたため、

検察官が立件した。

例集17巻5号572頁)。
控訴審は無罪(大阪高昭和36年7月13日 判例時報276号33頁)。条例で財産権を制限することは、憲法29条2項に違反する。
補償なしに財産権を制限することは、憲法29条3項に違反する。

ため池の破損・決壊等による災害を未然に防止するため

に定めた(→1条)ものであり、Yらにとっては当該ため池に対する財産権の行使をほぼ全面的に制限されることになるが、

公共の福祉に照らして受忍しなければならない。