フィックの法則(フィックのほうそく、英: Fick's laws of diffusion)とは、物質の拡散に関する基本法則である。気体、液体、固体(金属)どの拡散にも適用できる。フィックの法則には、第1法則と第2法則がある。
この法則は、1855年にアドルフ・オイゲン・フィックによって発表された。フィックは拡散現象を、熱伝導に関するフーリエ (1822) の理論と同じように考えることができるとしてこの法則を与えた[1]。
第1法則は、定常状態拡散、すなわち、拡散による濃度が時間に関して変わらない時に使われる、「拡散流束は濃度勾配に比例する」という法則である。工業的に定常状態拡散は水素ガスの純化に見られる。数式で表すと、
J
=
−
D
grad
c
oldsymbol{J} = -Doperatorname{grad}c
あるいは1次元なら、
J
=
−
D
d
c
d
x
J = -Drac{mathrm{d}c}{mathrm{d}x}
となる。ここで、記号の意味は以下である:
J は拡散束または流束 (flux)といい、単位時間当たりに単位面積を通過する、ある性質の量と定義される。質量が通過する場合には次元は[ML-2T-1]で与えられる。
D は拡散係数 (diffusion coefficient)といい、次元は[L2T-1]
c は濃度で、次元は[ML-3]
x は位置で、次元は[L]
1次元で説明する。単位面積の断面を持つ、パイプ状の物体を想定する。そして、パイプ中の溶質には、長さ方向に濃度の差(濃度勾配)があるとする。つまり、濃い部分から薄い部分へと溶質が流れる。この時、単位時間当たりに拡散する溶質、つまり拡散流束をJ とし、パイプ中の任意の位置x での濃度をc とする。このとき、フィックの法則より流束J が濃度勾配に比例するから、次のようになる。
J
∝
d
c
d
x
J propto rac{mathrm{d}c}{mathrm{d}x}
ここで、
d
c
d
x
>
0
rac{mathrm{d}c}{mathrm{d}x} > 0
ならば溶質はx の負の方向に拡散する。これを考慮してマイナスの符号を入れて、さらに比例定数D を入れると、フィックの第1法則が導き出される。
第2法則は、非定常状態拡散、すなわち、拡散における濃度が時間に関して変わる時に使われる。実際の拡散の状態は、非定常状態がほとんどである。拡散係数D が定数のとき、濃度c の時間変化は次の拡散方程式で表される:
∂
c
∂
t
=
−
div
J
=
D
∇
2
c
rac{partial c}{partial t} = -operatorname{div}oldsymbol{J} = D abla^2 c
これは広義の連続の式と等価である。あるいは1次元なら、
∂
c
∂
t
=
D
∂
2
c
∂
x
2
rac{partial c}{partial t} = Drac{partial^2 c}{partial x^2}
記号は第1法則と同様である。
第2法則は、第1法則から導く。第1法則で導いたのと同じように、単位面積の断面を持つパイプ状の物体を想定する。x とx + dx にはさまれたdx の部分の濃度の時間的変化 ∂c/∂t を考え、任意の位置x での濃度をc 、x + dx での濃度をc + dc とする。 この時、x + dx の境界を通して注目している領域に流れ込む溶質の量はJ(x + dx)、この領域からx の境界を通して流れ出る溶質の量はJ(x) である。これより、
∂
c
∂
t
=
J
(
x
)
−
J
(
x
+
d
x
)
rac{partial c}{partial t} = J(x) - J(x + mathrm{d}x) ・・・(1)
ここで第1法則より
J
(
x
)
=
−
D
(
∂
c
(
x
,
t
)
∂
x
)
,
J(x) = -Dleft( rac{partial c(x,t)}{partial x} ight),
J
(
x
+
d
x
)
=
J
(
x
)
+
∂
J
(
x
)
∂
x
=
−
D
(
∂
c
(
x
,
t
)
∂
x
)
x
−
∂
∂
x
(
D
∂
c
(
x
,
t
)
∂
x
)
x
J(x+mathrm{d}x) = J(x)+rac{partial J(x)}{partial x} = -Dleft( rac{partial c(x,t)}{partial x} ight)_x - rac{partial}{partial x}left( Drac{partial c(x,t)}{partial x} ight)_x
であるから、これらを式(1)に代入してフィックの第2法則が導き出される。
D が定数の場合は、
∂
c
∂
t
=
D
∂
2
c
∂
x
2
rac{partial c}{partial t} = Drac{partial^2 c}{partial x^2}
となり、比較的容易に解くことができる。初期条件および境界条件によって、いくつかの解がある。
D が定数でない場合は、
∂
c
∂
t
=
∂
∂
x
(
D
∂
c
∂
x
)
=
∂
D
∂
x
∂
c
∂
x
+
D
∂
2
c
∂
x
2
rac{partial c}{partial t} = rac{partial}{partial x}left( Drac{partial c}{partial x} ight) = rac{partial D}{partial x}rac{partial c}{partial x} + Drac{partial^2 c}{partial x^2}
となる。D の関数形にもよるが、解くのは困難になる。
上記では拡散係数D は等方的な定数であるとしたが、より一般には、方向に依存し、濃度勾配と流束が平行であるとは限らない。この場合、D は2階のテンソル量となる[1]。
具体的な物質における拡散係数の例[2][3]
物質1 物質2 拡散係数(m2/s) 備考
O2 N2 1.74×10−5 0°C
CO2 水 1.70×10−9 20°C
水銀 Cd 1.53×10−9 20°C
エタノール 水 1.13×10−9 27°C、1気圧、x C2H6O = 0.05
エタノール 水 0.90×10−9 27°C、1気圧、x C2H6O = 0.5
エタノール 水 2.20×10−9 27°C、1気圧、x C2H6O = 0.95
ショ糖 水 5.22×10−10 27°C、1気圧
金属 10-12
ガス分子などの分子拡散の場合、拡散現象はブラウン運動による説明ができ、拡散係数D は次式で与えられる[5]。この式をアインシュタイン・ストークスの式(Stokes-Einstein equation)という[3]。
D
=
k
T
B
=
k
T
6
π
μ
a
D = kTB = rac{kT}{6pimu a}
k :ボルツマン定数
T :温度
B :移動度
μ :粘性
a :分子半径
金属などでは、拡散係数D の温度依存性は次のように表される[4]。
D
=
D
0
exp
(
−
Q
R
T
)
D=D_0expleft(-rac{Q}{RT} ight)
ここでD0 は振動数因子、Q は拡散の活性化エネルギーと呼ばれる。R は気体定数である。
流体力学でよく用いられる無次元数のなかで、物質の拡散に関係するものには以下がある:
シュミット数 - 動粘性係数と拡散係数D の比
ルイス数 - 熱拡散率と拡散係数D の比
ペクレ数 - 本来は慣性と熱拡散率の比だが、アナロジーとして慣性と拡散係数D の比をとることがある。
連続の方程式(れんぞくのほうていしき、英: equation of continuity、連続方程式、連続の式、連続式などとも言う)は物理学で一般的に適用できる方程式で、「原因もなく物質が突然現れたり消えたりすることはない」という自然な考え方を表す。保存則と密接に関わっている。
狭義には流体力学における質量保存則
∂
ρ
∂
t
+
∇
⋅
(
ρ
v
)
=
0
{partial ho over {partial t}} + abla cdot ( ho oldsymbol{v}) = 0
(ρは密度、v は流れの速度、t は時間である。∇はナブラを参照。)
あるいは、この式を非圧縮性流体に適用した
∇
⋅
v
=
0
abla cdot oldsymbol{v} = 0
を指す。
広義には、スカラー物理量 q についての保存則
∂
ρ
∂
t
+
∇
⋅
j
=
0
{partial ho over partial t} + ablacdotoldsymbol{j} = 0
(ρ:q の密度、j:q の流束)
を指し、更に一般化して、q の輸送方程式(一般の保存則)
∂
ρ
∂
t
+
∇
⋅
j
=
σ
{partial ho over partial t} + ablacdotoldsymbol{j} = sigma
(σ:q の湧き出し密度)
を指すこともある。
広義の連続の式をフラックス形式あるいは一般の保存則という[1]。q をあるスカラー物理量、Ωを固定された有界積分領域、∂ΩをΩの境界である閉曲面とする。
q についての連続の式は、
領域 Ω における q の単位時間あたりの増加量
d
M
d
t
{mathrm{d}Movermathrm{d}t} と 境界 ∂Ω における q の単位時間あたりの流出量(流量) J との和は、 領域Ωにおける q の単位時間あたりの湧き出し量 S に等しい。
d
M
d
t
+
J
=
S
{mathrm{d}Movermathrm{d}t} + J = S
と表現できる。
ここで q は連続的に分布する量であり、上述の量はすべて何らかの「密度量」で表現できなければいけない。そこで、q の密度 ρ、q の流束 j 、q の湧き出し密度 σ を導入すると、
M =
∫
Ω
ρ
d
V J =
∮
∂
Ω
j
⋅
d
S
S =
∫
Ω
σ
d
V
egin{align}
M &= int_Omega ho ,mathrm{d}V\
J &= oint_{partialOmega}oldsymbol{j}cdotmathrm{d}oldsymbol{S}\
S &= int_Omega sigma mathrm{d}V
end{align}
と表せる。ここで、dS は、境界 ∂Ω 上の微小素片における外向きの面積ベクトルであり、第2式は流束と面積ベクトルとの積の総和が境界を通って流れ出す q の流量であることを表している。
これにより連続の式は
d
d
t
∫
Ω
ρ
d
V
+
∮
∂
Ω
j
⋅
d
S
=
∫
Ω
σ
d
V
{mathrm{d}overmathrm{d}t}int_Omega ho ,mathrm{d}V
+ oint_{partialOmega}oldsymbol{j}cdotmathrm{d}oldsymbol{S}
= int_Omega sigma mathrm{d}V
となる。
ガウスの定理を使って第2項を体積積分で書き換え、第1項の時間微分と体積積分を交換すると
∫
Ω
{
∂
ρ
∂
t
+
∇
⋅
j
−
σ
}
d
V
=
0
int_Omega left{
{partial hooverpartial t} + ablacdotoldsymbol{j} - sigma
ight}mathrm{d}V
= 0
となるので、微分形
∂
ρ
∂
t
+
∇
⋅
j
=
σ
{partial ho over partial t} + ablacdotoldsymbol{j} = sigma
が得られる。
特に、湧き出しがないときの連続の式
∂
ρ
∂
t
+
∇
⋅
j
=
0
{partial ho over partial t} + ablacdotoldsymbol{j} = 0
を保存形、あるいは、q の保存則の微分形と呼ぶ。
速度が v で表される流れを考える。ρを質量密度、j を質量の流束とする。流れ、すなわち、移流あるいは対流は速度 v での物質の移動であるので、流束は
j
=
ρ
v
oldsymbol{j}= hooldsymbol{v}
となる[2]。
質量保存則から連続の式は
∂
ρ
∂
t
+
∇
⋅
(
ρ
v
)
=
0
{partial ho over partial t} + ablacdotleft( hooldsymbol{v} ight) = 0
となる。
速度が v で表される流れにおける連続の方程式は、質量保存則とレイノルズの輸送定理を用いても導ける[1]。
0
=
d
d
t
∫
Ω
(
t
)
ρ
d
V
=
∫
Ω
(
t
)
(
D
ρ
D
t
+
ρ
∇
⋅
v
)
d
V
0= {mathrm{d}overmathrm{d}t} int_{Omega(t)} ho, dV
= int_{Omega(t)} left(
{D ho over Dt} + ho, ablacdotoldsymbol{v}
ight) dV
ここで、
D
D
t
{D over Dt} は実質微分であり、Ω(t ) は流れと共に移動する任意の積分領域とする。1番目の等式は質量保存則を、2番目の等式はレイノルズの輸送定理を表している。
これより、
D
ρ
D
t
+
ρ
∇
⋅
v
=
0
{D ho over Dt} + ho, ablacdotoldsymbol{v} = 0
が成立する。
この式は、実質微分の定義
D
D
t
≡
∂
∂
t
+
v
⋅
∇
{D over Dt}equiv{partial over partial t}+oldsymbol{v}cdot abla
と公式
∇
⋅
(
ρ
v
)
=
ρ
∇
⋅
v
+
v
⋅
∇
ρ
ablacdotleft( hooldsymbol{v} ight)
= ho, ablacdotoldsymbol{v}
+ oldsymbol{v}cdot abla ho
を使って、
∂
ρ
∂
t
+
∇
⋅
(
ρ
v
)
=
0
{partial ho over {partial t}} + abla cdot ( ho oldsymbol{v}) = 0
と等価であることがわかる。
連続の方程式
D
ρ
D
t
+
ρ
∇
⋅
v
=
0
{D ho over Dt} + ho, ablacdotoldsymbol{v} = 0
に対して、非圧縮性流体の性質(密度が一定であること)を付加すると、非圧縮性流体における連続の式が導き出される。密度が一定というのは、空間的に一様という意味ではなく、変形していく領域内で一定という意味である[2]。つまり、
D
ρ
D
t
=
0
rac{D ho}{D t} = 0 となるので、ρ≠ 0 であることから、
∇
⋅
v
=
0
ablacdotoldsymbol{v}
= 0
を得る。この式を非圧縮性条件ともいう。
この条件を満たす流れにおいて、流れていく流体要素の体積は不変である。
電磁気学における連続の式とは電荷の保存則の微分形である[3]。ρ を電荷密度、j を電流密度とすれば、連続の式は
∂
ρ
∂
t
+
∇
⋅
j
=
0
{partial ho over partial t} + ablacdotoldsymbol{j} = 0
となる。
マクスウェルの方程式において、電荷の保存則を満たすためにオリジナルのアンペールの式
∇
×
H
=
j
abla imes oldsymbol{H} = oldsymbol{j}
に変位電流を導入する必要があった。修正されたアンペールの式
∇
×
H
=
∂
D
∂
t
+
j
abla imes oldsymbol{H} = {partial oldsymbol{D} over partial t} + oldsymbol{j}
において、両辺に発散 ∇· を作用させると、左辺はゼロとなるので、
∇
⋅
∂
D
∂
t
+
∇
⋅
j
=
0
abla cdot {partial oldsymbol{D} over partial t} + abla cdot oldsymbol{j} = 0
となり、ガウスの式
∇
⋅
D
=
ρ
abla cdot oldsymbol{D} = ho
を代入することで連続の式が得られる。
マクスウェルの方程式において、電荷の保存則を満たすためにオリジナルのアンペールの式
∇
×
H
=
j
abla imes oldsymbol{H} = oldsymbol{j}
に変位電流を導入する必要があった。修正されたアンペールの式
∇
×
H
=
∂
D
∂
t
+
j
abla imes oldsymbol{H} = {partial oldsymbol{D} over partial t} + oldsymbol{j}
において、両辺に発散 ∇· を作用させると、左辺はゼロとなるので、
∇
⋅
∂
D
∂
t
+
∇
⋅
j
=
0
abla cdot {partial oldsymbol{D} over partial t} + abla cdot oldsymbol{j} = 0
となり、ガウスの式
∇
⋅
D
=
ρ
abla cdot oldsymbol{D} = ho
を代入することで連続の式が得られる。
電荷の保存則を表す連続の式は四元電流を使うことで、ローレンツ共変でコンパクトな形にすることができる。四元電流 Jμ (μ= 0, 1, 2, 3) を
J
μ
=
(
c
ρ
,
j
)
J^mu = left(c ho, oldsymbol{j} ight)
と表す。ここで c は光速である。微分演算子
∂
μ
=
(
1
c
∂
∂
t
,
∇
)
partial_mu = left(rac{1}{c} {partial over partial t} , abla ight)
を定義すると、連続の式は
∂
μ
J
μ
=
0
partial_mu J^mu = 0
と表現できる。ただし、添字におけるアインシュタインの規約を採用した。
量子力学における連続の式は確率の保存則を表す[4]。
Ψ(r , t ) を規格化された波動関数とする。確率密度 ρ、確率流束 j を
ρ =
Ψ
∗
Ψ
j
=
ℏ
2
m
i
[
Ψ
∗
∇
Ψ
−
Ψ
∇
Ψ
∗
]
egin{align}
ho &= Psi^{*} Psi\
oldsymbol{j} &= rac{hbar}{2mmathrm{i}} left [
Psi^{*} abla Psi - Psi abla Psi^{*}
ight ]
end{align}
と定義すると、シュレディンガー方程式
i
ℏ
∂
Ψ
∂
t
=
−
ℏ
2
2
m
∇
2
Ψ
+
U
Ψ
mathrm{i}hbar rac{partial Psi}{partial t} = -rac{hbar^2}{2m} abla^2 Psi + UPsi
を用いて、確率に対する連続の式
∂
ρ
∂
t
+
∇
⋅
j
=
0
{partial ho over partial t} + ablacdotoldsymbol{j} = 0
が得られる。
連続の式の導出
シュレディンガー方程式とその複素共役の式
i
ℏ
∂
Ψ
∂
t
=−
ℏ
2
2
m
∇
2
Ψ+UΨ, −
i
ℏ
∂
Ψ
∗
∂
t
=−
ℏ
2
2
m
∇
2
Ψ
∗
+U
Ψ
∗
egin{align}
mathrm{i}hbar rac{partial Psi }{partial t} &= -rac{hbar^2}{2m} abla^2 Psi + UPsi,\
-mathrm{i}hbar rac{partial Psi^{*}}{partial t} &= -rac{hbar^2}{2m} abla^2 Psi^{*} + UPsi^{*}
end{align}
それぞれに Ψ* , Ψ をそれぞれ掛けて2式の差を取ると
i
ℏ
Ψ
∗
∂
Ψ
∂
t
+
i
ℏ
Ψ
∂
Ψ
∗
∂
t
=
−
ℏ
2
2
m
Ψ
∗
∇
2
Ψ
+
ℏ
2
2
m
Ψ
∇
2
Ψ
∗
mathrm{i}hbar Psi^{*}rac{partial Psi }{partial t}
+mathrm{i}hbar Psi rac{partial Psi^{*}}{partial t}
=
-rac{hbar^2}{2m}Psi^{*} abla^2 Psi
+rac{hbar^2}{2m}Psi abla^2 Psi^{*}
更に
i
ℏ
∂
(
Ψ
∗
Ψ
)
∂
t
=
−
ℏ
2
2
m
∇
⋅
(
Ψ
∗
∇
Ψ
−
Ψ
∇
Ψ
∗
)
mathrm{i}hbar rac{partial left(Psi^{*}Psi ight)}{partial t}
=
-rac{hbar^2}{2m}
abla cdot left(
Psi^{*} abla Psi - Psi abla Psi^{*}
ight)
となり、連続の式
∂
ρ
∂
t
+
∇
⋅
j
=
0
{partial ho over partial t} + abla cdot oldsymbol{j} = 0
ただし、
ρ =
Ψ
∗
Ψ
j
=
ℏ
2
m
i
[
Ψ
∗
∇
Ψ
−
Ψ
∇
Ψ
∗
]
egin{align}
ho &= Psi^{*} Psi\
oldsymbol{j} &= rac{hbar}{2mmathrm{i}} left [
Psi^{*} abla Psi
- Psi abla Psi^{*}
ight ]
end{align}
が得られる。
ブラウン運動などのミクロスケール由来の現象による物質の質量輸送現象を考える[5]。このとき、経験則であるフィックの法則(フィックの第一法則)により流束は
j
=
−
κ
∇
ρ
oldsymbol{j}= -kappa abla ho
と密度の勾配で与えられる。係数 κ は拡散係数と呼ばれ、次元
L
2
T
−
1
mathrm{L}^2 mathrm{T}^{-1} をもつ。拡散係数が定数の時、連続の式から拡散方程式
∂
ρ
∂
t
=
κ
∇
2
ρ
{partial ho over partial t} = kappa abla^2 ho
が得られる。
線形補間(せんけいほかん、英: Linear interpolation, lerp)は、多項式補間の特殊なケースで、線形多項式(一次式)を用いた回帰分析の手法である。1次補間としても知られている。
なお、3つ以上のデータに対し線形補間といった場合、1つの線型近似によるフィッティングではなく、区分線形関数を使った区分線形補間(1次スプライン補間、いわゆる折れ線グラフ)のことである。
線形補間は数学の世界(特に数値解析)やコンピュータグラフィックスを含む多くの分野で非常によく使われている。補間の非常に単純な形式であり、これより単純なのは最近傍補間(0次補間)しかない。
座標(x0, y0)と(x1, y1)があるとする。ここで、 [x0, x1]の間にあるxが与えられたときに、この線上にある点を得たいとする。図をよく見ると次のことがわかる。
y
−
y
0
y
1
−
y
0
=
x
−
x
0
x
1
−
x
0
.
{\frac {y-y_{0}}{y_{1}-y_{0}}}={\frac {x-x_{0}}{x_{1}-x_{0}}}.\,\!
両辺と同じ値である値を
α
\alpha と置こう。これは補間係数である。これは、x0からx1までの距離とxに当たるまで動かした点までの距離の比である。xに入る値が分かれば、次の式によって
α
\alpha が得られる。
α
=
x
−
x
0
x
1
−
x
0
.
\alpha ={\frac {x-x_{0}}{x_{1}-x_{0}}}.\,\!
また、次の式も成り立つ。
α
=
y
−
y
0
y
1
−
y
0
\alpha ={\frac {y-y_{0}}{y_{1}-y_{0}}}\,\!
この式を代数的に操作すると次のどちらかの式が得られる。
y
=
(
1
−
α
)
y
0
+
α
y
1
y=(1-\alpha )y_{0}+\alpha y_{1}\,\!
y
=
y
0
+
α
(
y
1
−
y
0
)
y=y_{0}+\alpha (y_{1}-y_{0})\,\!
この式から、
α
\alpha の値を計算すると直接yの値を得られることが分かる。この式はxがx0とx1の間になくても成立する。それ故に、
α
\alpha は0から1の間にないかもしれないが、その場合通常は比率とは呼ばれない。その場合は線形外挿法と呼ばれる。外挿を参照のこと。
yが既知でxを知りたい場合、xとyを交換してまったく同じ手続きをすればいい。これはもっと複雑な補間アルゴリズムにはない特徴である。
線形補間はしばしば、ある関数f上の他の2点の値を使って、その関数上のある値を近似するのに使われる。この近似による誤差は次のように定義される。
R
T
=
f
(
x
)
−
p
(
x
)
R_{T}=f(x)-p(x)\,\!
ここで、pは線形補間多項式であり、以下で定義される。
p
(
x
)
=
f
(
x
0
)
+
f
(
x
1
)
−
f
(
x
0
)
x
1
−
x
0
(
x
−
x
0
)
.
p(x)=f(x_{0})+{\frac {f(x_{1})-f(x_{0})}{x_{1}-x_{0}}}(x-x_{0}).\,\!
エラーは次に示す式の範囲内にある。この式はもし、関数fが2次の連続する導関数を持つならば、ロルの定理を使えば証明できる。
|
R
T
|
≤
(
x
1
−
x
0
)
2
8
max
x
0
≤
x
≤
x
1
|
f
″
(
x
)
|
.
|R_{T}|\leq {\frac {(x_{1}-x_{0})^{2}}{8}}\max _{{x_{0}\leq x\leq x_{1}}}|f''(x)|.\,\!
見れば分かるが、与えられた関数上の2点間の近似は、近似された関数の2次導関数から計算された値よりも悪くなる。このことは、カーブを描いた関数は単純な線形補間を使った近似を行うと悪い値が出ることからも、直感的に正しいことが分かる。
計算量が非常に少ない。一般にスプライン補間は連立方程式を解くが、1次では例外的にその必要がなく、計算量は
O
(
n
)
{\mathcal O}(n) にすぎない。
連続だが、区分的にしか滑らかでなく、導関数および高次導関数は一般に不連続である(一般に、n 次補間は n - 1 次導関数まで連続である)。連続性により、元データにない値が現れる(ただしこれは、最近傍補間や特殊なアルゴリズム以外に共通の特徴である)。また導関数が不連続であるので、元データの傾きが大きく変化する付近で、高調波が発生してしまう。
単調性が保持される。つまり、元データが単調増加だと補間結果も単調増加である(単調減少でも同じ)。このため、オーバーシュート(元データの傾きが大きく増える直前に補間結果が少し減ること、またはその逆)がない。
線形補間はしばしば表の穴を埋めるのに使われる。もし、ある国の1970年、1980年、1990年、2000年の人口を表に持っていて、1994年の人口を見積もりたいとする。線形補間はこういうことを行うのには簡単な方法である。
2値間の線形補間のもっとも基本的な操作は、コンピュータグラフィックスでよく使われる。Bresenham(ブレゼンハム)のアルゴリズムは、2点間を結ぶ線を段々に補間して描画する。
1次補間は現在のすべてのコンピュータグラフィックスプロセッサのハードウェア内に内蔵されている。この処理はより複雑な操作を行うための処理の一部として使われている。たとえば、バイリニア補間は2つの1次補間を使ってできる。画像は多くの場合、線形補間で十分な品質が得られるが、連続という性質上、インデックスカラー画像には使いにくい。
この処理はコストが安いので、非常に多くのテーブルエントリを持たずに、滑らかな関数用に素早く参照できる正確なルックアップテーブルを実装するのもよい方法である。
線形補間は古くは表中の空白を埋めるのに使われていた。またしばしば天文学的なデータにも使われていた。この手法はセレウコス朝(紀元前3世紀終)やギリシャの天文学者や数学者であるヒッパルコス(紀元前2世紀)などによって使われていたと考えられている。線形補間の記述はプトレマイオス(2世紀)のアルマゲストに見ることができる。
要求される状況によっては、線形補間はしばしば十分に正確でないことがある。その場合は、(2次以上、通常3次の)多項式補間もしくはスプライン補間で置き換えることができる。
線形補間はまた、2変数の関数のためのバイリニア補間にも拡張できる。バイリニア補間はしばしば乱暴なアンチエイリアスフィルタとしても用いられる。似たものとして、トリリニア補間があるが、これは3変数の関数を補間するために使われる。線形補間の他の拡張としては、三角形や正四面体のメッシュのような他の網の目構造に適用される。