半導体需要が叫ばれる中で、「量子力学は金になる」と安易に考える風潮があるのは科学者だったら当たり前に考える。実際、量子力学をやっていると、それは「物質」について考えることであり、より物質の本来持っている性質を繊細に使いこなせれば、省エネ、高出力、高性能、あるいは元来出来なかった必要とされる性能を引き出すことができるだろう。だが私はこの物質がもつ量子的な側面を「環境がもつ本来的な組み合わさり方」だと考える。つまり、「第一原理的」な在り方は「個人」の存在の在り方だと思うし、もっといえば素粒子だってこの先、標準理論を越えて無限に存在していくような気がしている。「フォノン」や「スカーミオン」はそんな物質の個性がどんどん引き出されていって尊重された個性がコミュニケーションを取ろうと思ったときに理想とされるような社会の在り方だ。準粒子とみれる「ブラックホール」でさえも我々がこうして個々の在り方を伸ばしていく上で、ダークマター、ダークエネルギーと有機的に相互作用を受け渡しながら私たちのインフラになっていくような気がしている。私たちは量子力学をもって「物質」を見るのではなく、こうして社会の在り方を見るべきなのだ。